稲刈りで分かる、白鳥とたんぼの関係は?

さて、先週末は五頭自然学校の協働取組事業のイベントを視察してきました。

五頭自然学校では、「白鳥」をシンボルとして、阿賀野市及び新潟市の五頭山からなる流域一帯の生態系を保全していくための取り組みを進めています。

取り組みの一環として、今回、稲刈りを行ってきたのですが、いったい、なぜそれが白鳥と関係あるのでしょうか???

五頭自然学校の佐藤校長からレクチャー


参加者一同は、五頭自然学校に集合して、近くの夢の谷で有機農業を営んでいる方の田んぼに移動しました。
移動する間も、田んぼの風景が広がっていて、とてものどかです。

さて、今日お世話になる、農家の田んぼには、「イトミミズ」を祭った神社があります。
この「イトミミズ」って何かご存知ですか?

「イトミミズ」は、環境下において、土を耕してくれる田んぼの土の浄化役を果たしています。
田んぼに「イトミミズ」が多くいるということは、それだけで健康な土づくりができると言えます。

そのような役割を果たす「イトミミズ」を神社に祭り、よりよい食物ができる環境を祈願しています。

イトミミズ神社でお参り


そこで、私たちも一人ずつ、田んぼに入る前に、この「イトミミズ神社」にお参りします。
「おいしいお米が収穫できますよーに!」と。

お参りが終わったところで、稲刈りのレクチャー開始です。

早速、稲刈り


1株ごとに刈っていき、男性なら1度に3・4株刈ったものを「ひとまとまり」にします。
もう「ひとまとまり」刈ったものを、先ほど刈ったものの上に少し斜めにずらして置いていきます。

この2つの「まとまり」を、縛っていくことになります。
が、実はこれが非常に難しい!

1度、実演を見せてもらったのですが、1回でできた人は、1人のみ。
その後、全員で挑戦しましたが、結局、できるようになったのは6人くらい。
およそ半分くらいの参加者はできずに、あきらめて稲刈りにいそしみました(笑)

ちなみに、私は、十数回の練習を乗り越え、何とかできるようになりました。
何事もあきらめなければ、いつかできるようになるんですね・・・。

2株でお茶わん1杯だそうです


さて、縛った稲穂を次々に軽トラックに載せて、続いては「ハサがけ」を行います。
「ハサがけ」というのは、稲穂を天日乾燥させる作業のことです。

通常、刈ったばかりの米には23%程度水分が含まれているそうですが、
(雨を考慮して)2週間前後、「ハサがけ」すると、15%程度まで水分が下がり、長期保存に適するようになるそうです。

軽トラックいっぱいの稲穂

鈴木教頭によるハサがけ

これで、本日の作業「稲刈り」「ハサがけ」は終了です。
で、ここまでの作業がいったい、白鳥とどう関係あるのか、わかりましたか?

ちょっと、わかりにくいですが、こちらの写真を見てみて下さい。

田んぼには、「米」がたくさん落ちています
※クリックで拡大


実は、稲刈りをした田んぼには、お米がたくさん落ちています。
刈った時や、縛った時に、落ちていったお米です。

このお米を、秋から冬にかけて飛来する白鳥が食べに来るのです。
これが、「田んぼ」と「白鳥」の関係の秘密です。

大したことない、と思われるかもしれませんが、
人の営みがあるからこそ、白鳥もやってくる。共存共栄している状態が生まれています。

人も白鳥も田んぼを通じて、「仲良し」、そんな感じがしませんか?

五頭自然学校の協働取組では、このような「白鳥」がやってくる豊かな環境のつながりをもっと知ってもらおうと、
「食」「水環境」といった切り口で事業を展開しようとしています。

「食」は今回体験した「田んぼ」、「水環境」はラムサール条約登録湿地で、白鳥が飛来する「瓢湖」です。
今までは、これらの要素が分断されていましたが、「白鳥」を軸にして、つなげていく。
さらに、それは阿賀野市だけではなく、「白鳥」が飛来する土地環境まで広げていく、壮大な構想なのです。
(白鳥は、阿賀野市の瓢湖だけでなく、新潟市にある福島潟、佐潟、鳥屋野潟の4か所に飛来します)

振り返りを絵日記で

ishimoto作の絵日記

さて、再び、五頭自然学校に戻り、今日の感想を絵日記で表しました。
思い思いの絵を描いて、一言ずつ感想を共有して、本日のイベントは終了しました。

次は、森とのつながりを考えるイベントを予定しています。
ご興味がある方は、是非、新潟まで来てくださいね。


Takayuki Ishimoto