公害資料館連携フォーラムin富山 Vol.1 ~ただの田んぼ?それとも…~

協働取組加速化事業の全国案件として継続採択された公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)が実施する「公害資料館の連携 -参加型学習で被害者・企業・行政・地域をつなぐ-」の主要事業である「公害資料館連携フォーラムin富山」が先日開催されました。こちらは、昨年度の新潟での開催に引き続き2年目の開催となります。

12月5日(金)~7日(日)の2泊3日で非常に中身の濃いフォーラムでしたので、複数回にわたってその模様をブログでお伝えしたいと思います!

 

12月5日のみぞれまじりの雨が降る中、初日のフィールドワークが始まりました。50名の定員も数週間で埋まるなど、関心の高さがうかがえます。

 

さて、JR富山駅と富山空港で参加者を載せた大型バスが最初に行く先は富山県立イタイイタイ病資料館。この3日間のメイン会場となる場所で、まず鏡森館長のご挨拶があり、その後に職員の方に資料館を案内して頂きました。約2年半前にオープンしたこの県立イ病資料館に初めて訪れた方も多く、富山県の暮らしの風景、公害の発生、救済や復元のやり方など、まずは概要について資料館の展示を使いながらご説明頂きました。

富山県立イタイイタイ病資料館を見学

富山県立イタイイタイ病資料館を見学

その後はバスに乗り込み、汚染から復元された復元田とその記念碑、富山県の復元事業を待たずして住民の方々が自主的に行った自主復元田とその記念碑などを回りました。ただし、あいにくの雨だったので、イタイイタイ病解明にご尽力された萩野昇医師のお墓と神通川は、バスの中から見るのみとなってしました。

 

 

 

 

自主復元の碑

自主復元の碑

バスのフィールドワークの最終目的地は、イタイイタイ病救済・再発防止のための運動拠点として建設された清流会館でした。そこで、これまで被害者団体をリードされてきた一般財団法人 神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会代表理事の髙木勲寛さんからまとめの解説をもらい、その場でこのフィールドワークの振り返りということで、少人数グループに分かれて感じたことなどを共有しました。終始熱心な質問が飛び交い、大変実りのあるフィールドワークでした。

 

 

 

清流会館にて

清流会館にて

私個人は、この協働取組事業の一環で昨年の夏に初めて富山、そして県立イ病資料館に来ました。その時には、富山空港から歩いて資料館に向かったのですが、行きは一見普通の田んぼが広がる風景だったのが、帰りに改めて見てみると、かつて汚染されそこから復元された田んぼということで完全に違って見えました。また、今回のフィールドワークで復元にかける思いとして、おいしいお米が食べたいという農家さんの強い思いをうかがうことができ、さらに特別な田んぼに見えました。

「公害」という言葉だけでは、つい自分自身とは関係ないものだと捉えてしまいがちですが、例えば普段何気なく食べているお米、そのお米を産み出す田んぼ、その田んぼに流れる川、その川の上流…といったようにそれぞれのつながりや背景まで見ることで、受け止め方が変わってくるように思います。

実際に現地に足を踏み入れることの価値を感じられた一日となりました。

土壌復元された田んぼ

土壌復元された田んぼ

 

 

 

 

 

 

 

kensuke eguchi