突然の震災、非常時にあなたの団体はどう動きますか?-中間支援組織交流会inひろしま報告-

8月7日、EPO東北とひろしまNPOセンターが主催して開催された「中間支援組織交流会inひろしま」に当日の進行役として参加してまいりました。

 

今回は「東日本大震災が発生した時に東北地方の中間支援組織がどのように判断して、どのように振る舞ったか」をテーマに、実際に震災を経験した東北地方の団体と、今後東南海地震等への備えが必要と言われている中国地方の団体との、いわば経験交流の場でした。

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まず、EPO東北の小山田さんより導入ともなる東日本大震災のふりかえりを行いました。被害の映像と数字中心に、いかに東日本大震災の被害が大きかったか、改めて確認をするような内容でした。

続いて、東北地方から宮城県、秋田県、山形県の3団体から事例紹介として、それぞれ個人としてまた団体として被災時にどのように振る舞ったかという話を頂きました。その後中国5県の中間支援組織からの参加者、そして見学者として来ていた県や市、社会福祉協議会の職員を巻き込んでディスカッションを行いました。4時間に渡る交流会でしたが、会の盛り上がり以上に経験に基づく極めて現実的な話をできたことが大変印象的でした。

 

交流会の中で、特に私がキーワードだと感じたものをいくつか紹介します。

 

ネットワークを作っても、目的や意味が明確でないとそれは機能しない。

多様な立場の人たちが協力しよう、ネットワークをつくろう、ということそのものに対して反対する人は少ないでしょう。機能すれば当然有効です。しかしながら、それがネットワークの為のネットワークであったり、形式的なものでは機能しません。解決したい問題があり、そのために必要な人や組織が役割分担をしながらつながっていくことこそがネットワークの本質であり、その関係性は一朝一夕ではなく、本気で作るべきものだというご指摘がありました。

 

外部と内部をいかにつなげるか。

震災の発生直後は、緊急的に駆けつけた東北地方外のNPOやボランティア、またいわゆる災害復旧のプロであるいくつかのNGOは大活躍しました。しかし、そのような活動はそもそもどうしても継続性に課題を抱えており、例えば現実問題として、2011年のGW明けにはボランティアの数が激減したといわれています。こういった外部からの支援がメディアなどでも取り上げられやすい一方で、地元に根付いた地道な活動をしているいわば内部の団体と十分な連携を取れていたところは多くはなかったそうです。ニーズの共有という意味でもそうですが、中長期的には地元をやる気にさせることが復興につながっていくので、そのための力を地元の人がつけていくような意識でもって、内外の人が関わり合うことが重要というお話でした。

 

持つべき役割の違い。

今回、同じ東北地方の中でも直接的に大きな被害を受けたのが、福島県、宮城県、岩手県の3県であり、一方で比較的被害が小さかったのが青森県、山形県、秋田県と言われています。特に山形県は、被害の大きかった3県と隣接しているという地理的な特性から、復旧時の交通の要所ともなったそうです。お話の中でも、山形県と秋田県では、同じ東北ということでもどかしさを感じながらも、あくまで中間支援組織として、自分たちが直接ボランティアに行くというより、支援活動をしている団体を支援することや、避難者支援を活発に行ったそうです。このようにして、同じ災害でも沿岸部と内陸部での違いや地理的要因により、当然被害の度合いは変化し同時に担うべき役割も変化するだろう、ということでした。

 

依然として東日本大震災で行方不明者がいらっしゃることや今後の復興に向けて不透明な部分は大きいですが、日本国内また世界中で次の災害がいつどこで起こるか分からない以上は、やはり痛ましい経験から学び、改めて備えることの重要性を感じたひと時となりました。今回の交流会をきっかけに、東北地方と中国地方、また中国地方同士で備えに向けた議論が加速化することを祈っております。

 

Kensuke eguchi