“環境保全活動・環境教育推進法”
基本方針についての意見交換会(第2回)議事録
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■環境教育の定義について
発表者:小学校校長・内藤氏
内藤氏作成による配布資料[PDF:916k]
○ファシリテーター・青木氏:
まずお聞きしたい。この法律の基本方針に盛り込むべきポイントを一言でいうと?
○発表者・内藤氏:
「3年計画で実現できるようなプロジェクトを立ち上げてほしい」。p.9プラス個人資料9ページ参照 3行目 ミレニアムエコラーニングプロジェクト エコラーニング推進協力者会議を開いて、2年をめどにモデル計画を立てる。1年目年末(最初のモデルの試案)、2年目(確定案)、3年目(評価)環境問題の中で、小中学校の段階で国民全員が押さえるべき事項を定義してほしい。 資料参照 1枚目の文科省の例示4項目(やってもやらなくてもいい、と取られている)は実際にはあまり取り入れられていない。3枚目:自分の学校では14年度の計画(4年間で180時間)~16年度 職員研修 自分の学校では16時間。全国的にやらないとレベルアップしない。
○ファシリテーター・青木氏:
滝口さん、どうか。
○環境省・滝口氏:
3年計画という具体的な提案はいい。モデル事業的に考えられるかもしれない。学習指導要領に入れると時間がかかる。機能的にやるにはモデル的にこういうのがあるといい。環境省の環境教育室の仲間と相談したい。
○ファシリテーター・青木氏:
(会場へ)内藤さんの発言に何か?
○NPO・千賀氏:
別の会合でも出た話だが、文科省ではかつての理科教育振興法と同じように環境教育振興法をつくるよう、文科省に要請すべきだろうということ。環境教育の手法を探っている部署の方も希望していた。そのほうがはるかに実がある。所管が違うのでここでの話ではないのかもしれないが、検討してほしい。
理科教育振興法で、現場の先生は半強制的に研修を受けて科学技術を覚えた。今回の環境教育法もそれに準じる形がいいのではないか。そのくらいのことをすれば蓄積もあるし、先進的事例を集めている国立教育政策研究所などのバックアップがあればできるだろう。
○ファシリテーター・青木氏:
この法律とは別枠でつくったほうが早いのでは、というご意見か。
○NPO・千賀氏:
そういうことを考えている人もいる。
ただ、私はもっと大きくとらえてもいいと考えている。例えばドイツのヨーロッパハウス。自然環境保全から持続可能な社会までの道筋をつける講座で、市民が参加する講座がいっぱいある。学校教育と地域、個人がやる教育というのは系列的に行われている。理科教育振興法に準じた環境教育振興法というのが学校教育に限定されるのではなく、一方で市民に対してのヨーロッパハウスのような、環境パートナーシッププラザのようなものを各都道府県でつくって学校教育の精神的な骨になってほしいという考え。
○発表者・内藤氏:
私は20数年理科の教員をやってきた。理振法は無くなっていないが形態が変わり、方向的には下火。数学でも同じような振興法がある。提案いただいた環境教育振興法を新たに起こすには膨大なエネルギーがいる。このEE法がせっかくできた。全国の意見でp.2は学校教育のこと。期待もあるし、環境教育の仕組みが整っていないのが学校教育だ。学校でやる環境教育は全教科全領域に渡るが、横断的にやるところとやらないところがあり、強制もしないので、「いいね」というくらいの話でやってきてしまった。それを総合的な学習で統合した。学習指導要領は学校教育法施行規則を受けて文科省の告示として決まっている。学校教育法の上に教育基本法があり、下には施行令・施行規則があって、学習指導要領がある。このEE法は5省にまたがっているので、文科省だけのものとは重みがぜんぜん違う。次の学習指導要領の改定を待つと8年もかかってしまうので、私はこの法律に期待している。
○ファシリテーター・青木氏:
文科省はこの法律をきっかけに、学習指導要領を変えることも視野にあるか。
○環境省・滝口氏:
学習指導要領はともかく、動きはゆっくりだが変わってきている感じはある。かなり一緒に議論ができるようになっている。様々な場面で環境教育が盛り込まれるようになってきた。
○企業・関氏:
環境教育推進法の中で論じられている環境の範囲は限定されてる。定義に関しては幅広く取るよりも、森林・田園・公園など分野を限定してそこにいろいろ定義づけをするべきだと私も思う。そうでないとリサイクルや廃棄物などは、ちょっと質が違うのではないか。
○発表者・内藤氏:
学校は物理的にやる時間が限られている。おっしゃるとおり。
先日、文部科学大臣が小学校の英語学習の早期実施について述べた報道がなされていた。総合的な学習で英語の時間が位置づけられれば、残りは週2時間しかない。学力低下対策にと、算数の補習をやるところもあるようにきいている。これは総合的な学習の主旨にそぐわないが。そうなると、手を上げた教科が勝ち、という状況にならないか。環境問題対策での緊急課題は、環境教育として必須。では緊急の課題は何かというと、温暖化は人類の生存そのものにかかわる。アレルギー・環境ホルモンなども大事だが、温暖化、エネルギー、ゴミ・リサイクルなどは必須だろう。そういう視点で委員会の中で協議していただきたい。
○企業・向達氏:
持続可能な社会づくりに向けての教育は当然やるべきだが、今の法律は欠点だらけの法律で範囲を限定している。
意見集11ページの林さんの意見がユニーク。一般的には持続可能な社会づくりに向けた学習、国連の教育の10年を盛り込めという意見が圧倒的に多い中で、あえてこれははずせということを明確にしている。この意見を聞きたい。
○NPO・林氏:
関係者の多くが認めるとおり、この法律は不完全と思う。できの悪いものを使うのには限度がある。使えないものは使わないという選択をしてよいのでは? 法文に盛り込まれていないものを、この法律の中で動かそう、生かそうとしてはならない。国連の「持続可能な開発のための教育の10年」は、提案の段階から活動されてきたプラットフォームを活かして実施されるべき。この法律は関与すべきではない。
○発表者・内藤氏:
うちの学校の教育課程は、この3年間変えていない。担任は変わっても、全員が環境教育の素養を持っていなければならない。明日は、東京電力の出前授業が来る。そういうカリキュラムがあれば3年続くという形で動いている。プログラムを固定して発展させている。
○ファシリテーター・青木氏:
では、会場のみなさんの意見を聴きたい。
質問:
定義範囲をはっきりと示すべき:6
より広い範囲をとるためぼかす:5
○NPO・青木氏:
法律制定から色々なNPOの意見を聞いてきた。不完全な法律という意見も半分くらい共鳴できるが、基本的な枠組みを定める法律なので、あまりガチガチにしてしまうと、少しの事でも法改正の必要が出てしまう。基本法や理念法という体系の中ではこのくらいでいいのでは。
○環境省・滝口氏:
あいまいか限定かは法解釈の問題。意見が分かれるところだ。
当日のファシリテーション・グラフィック
記録者:川村研治(地球環境パートナーシッププラザ(GEOC))
○発表者:内藤氏
- 環境教育推進プロジェクトを立ち上げるべきである
- 国の省庁連携の推進組織づくり
- 義務教育で教えるべき内容を決定する(定義する)
- 3年を目途に評価をする
- 指導者の研修をする
○環境省・滝口氏
- モデル事業はあり得る
○会場より
- 文科省に「環境教育振興法」制定を働きかけるべき
○発表者:内藤氏
- 5省庁で作った「法」の重みは重要
○環境省・滝口氏
- 「法」によって省庁間のカベが少しずつ少なくなりつつある
○会場より
- 分野を限定し、範囲を明らかにする
○発表者:内藤氏
- 課題の緊急性を鑑みて、分野を決めて集中的に
○会場より
- 「法」の範囲で持続可能性までを含包するには不完全すぎる。範囲を極力狭くとらえるべき
質問:(二択)
環境教育の定義をはっきりと示すべき:6
より広い範囲をとるためぼかす:5
○会場より
- 基本法・理念法の性格上、広くとらえないと法改正がしょっちゅう生ずる危険がある
index(もくじ) ・ #1:挨拶 ・ #2:環境教育の定義について ・ #3:人材登録について ・ #4:国・自治体の役割について ・ #5:プロセスについて