環境保全活動・環境教育推進法”基本方針についての意見交換会(第2回)議事録5 2012年1月28日

環境保全活動・環境教育推進法”
基本方針についての意見交換会(第2回)議事録
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プロセスについて

発表者:NPO・林浩二氏

○ファシリテーター・青木氏:

この法律の基本方針に盛り込むべきポイントを一言で。続いて発表を。

○発表者・林氏:

官民のパートナーシップを推進すべきと明確に盛り込むべきと考える。

  1. 今回の法律が狭く定義したのであれば、それを広く解釈してはならない。「限定的にとらえる」と割り切って考えるべき。
  2. 省庁や自治体と市民・NGOとのパートナーシップはこの法律に想定されていないように見える(21条)
  3. 木俣さんの先ほどの主張のように、省庁ばかりでなくNGOも縦割りに陥りがち。省庁の縦割りを打破するためにこの法律が使えたら良い。
  4. 官民のパートナーシップを規定すべき。基本方針は閣議決定の形をとるため、政府の内部について上乗せ規定をつくることは可能なはず。同様に、省庁間連携も強調すべき。
  5. 欠席者から提出されている意見のうち、藤村コノヱさんの「政府は、見直しまでの5年間の達成目標を明確に示すものとする」には賛成。成果を公正な立場で検証し、廃止をも選択肢に入れるべき。あいまいなものでなく、評価可能な具体的な目標を提示すべき。

○ファシリテーター・青木氏:

成果を明示するということは、達成目標を明示することだと思うが、それはどんなことだと思うか。

○発表者・林氏:

具体例の準備はないが、あいまいなものでなく評価できるもの。量的なもの・数値的なものを示すべき。

○環境省・滝口氏:

パートナーシップについては第21条では行政機関との連携については規定していないが、法として国や地方公共団体と市民・NGOとのパートナーシップを否定しているのではない。第5条第1項では、「国の責務において・・・国民、民間団体等との適切な連携を図るよう留意する」と示している。それを具体的に基本方針に書いていくということはやるべきと思っている。達成目標を、具体的に”何を”というのが難しい。学校の教育時間を3倍にするとか人員を何人とするのがいいのかどうか意見の分かれるところ。

○企業・関氏:

林氏は、先ほどの発言では、国が一律に指標を示すべきでないといったのに、今度の提案では達成目標をはっきりすべきと言っている。どちらなのか?。

○発表者・林氏:

難しい問題だ。指標策定をすべて地域に任せて大丈夫かというと、心配はある。先ほどの挙手の際には、根本のところは大枠では示すべきと考え、「国が指針・目標を示すべき」に賛成に手をあげた。私の見解からするとこの法律は不要。不要なものを作ったのだから、その必要性が示されるべきということを言いたかった。

○学生・青柳氏:

自分が受けた環境教育を思い起こすと、足尾銅山事件と4大公害病しか習っていない。小中高校生だけでなく私たち自身も教育されるべき。法律に環境保全活動ともあるので、企業にも声を聞いて取り入れるべき。

○NPO・千賀氏:

パートナーシップは大事。ヨーロッパでは市民個人がいい知恵を出すためのハードがある。例えばヨーロッパハウス。環境教育の手法の開発などいろいろやっている。各県に1つは学校教育の中での環境教育を進めるために、その手法を集約する場としても必要だし、省庁横断的にやるならパートナーシップとしての市民や団体が参加するため、人材登録制度も行うべき。かなり集約できるのでは。

○NPO・石井氏:

本来環境教育は環境保全活動だけにとらわれるわけではなく、環境基本法の中だけでもない。廃止も含めてよりよいものができるなら取って代わるのもいい。そのためにもステップごとにどこまでできたか情報公開をするのが大事。基本方針も前半2年後半2年程度での評価を公開すべき。達成目標を明らかにし、社会の動きを連動させて見直し、よりよいものにできればいい。

○ファシリテーター・青木氏:

目標とはどんなものだと思うか。

○NPO・石井氏:

細かいものはきびしいが環境基本計画がどの程度動いているとかいう指標はどうか(個別活動のアンケートなど)。

○行政・坂本氏:

公務員。国の役割、地方の役割についての議論に関心を持って聞いていた。ビジョンなど抽象的なレベルではこの基本方針で方向性を打ち出すことはできると思うが、具体的な指標づくりについては疑問。目指すべき指標は、環境各分野でそれぞれ示されている目標。環境教育で新たにここで指標を決めるとなると、人材登録数というようなことになり、無駄な官製の登録システムが一つできるだけ、となるような気がする。市民の行政への参画・パートナーシップの仕組みを地域でどうやって作っていくかが中心テーマになるべき。また、今までの議論の中で抵抗感があったのは、「国は金を出して口は出すな」という発言。各省庁が予算の使われ方に口を出しチェックすることを否定するのは適当ではない。そうではなくて、いま社会責任投資やコミュニティファイナンスが盛んになっているので、「国は金を出さなくてよい、自分たちの選択で資金拠出するから、これを社会への負担のあり方として認めてほしい」と言うべき。発想の転換をした方がよりクリエイティブではないか。

○企業・向達氏:

金を出して口を出すなと思っている。必ず口を出してくるのでチェックを入れる。成果評価のことだが、日本の環境教育の実体について現状調査を市民サイドの提案でやってオープンにする。現状がわかっていないと成果も評価もない。最近環境省が市民団体にアンケートをとっているが、企業にもやってほしい。時間の評価と財政支援の評価を明確にすべき。

当日のファシリテーション・グラフィック
記録者:川村研二氏(地球環境パートナーシッププラザ(GEOC))

発表者:林氏

  • 「パートナーシップ」をすべきである
  • 環境教育の定義が狭いのであれば、基本方針で広く解釈すべきではない
  • 官・民のパートナーシップを規定すべき
  • 省庁間連携も強調すべし
  • 成果を評価・公表し、害があれば法の廃止も
  • 達成をわかりやすく示す目標指標

環境省・滝口室長

  • 「法」は官民パートナーシップを否定しているわけではない。基本方針で書くことは可能
  • 達成目標を計量可能な形で示すことは難しい

発表者:林氏

  • この「法」は不要。必要であることの証明として達成目標が必ず必要

会場からの意見

  • 企業の意見も取り入れて進めるべき
  • パートナーシップが重要。参加の場としてのハードウェアが必要。人材などの情報集約も行なう
  • ステップごとの評価と公開をすべき。他の社会の動きを見渡して改善が必要
  • 目標設定は、基本計画の達成など
  • 教育の分野での指標化は難しい
  • パートナーシップを地域でどう作るかが問題
  • 「国は金を出して口を出すな」は、おかしい。国の金をアテにしないでもいい仕組みが必要
  • 環境教育の現状調査が先。現状がわからないと目標もできない。

以上

記録・まとめ:須藤(GEOC)、小島(EPO)、伊藤(GEOC)
ファシリテーション・グラフィック:川村(EPO/GEOC)

次回意見交換会は、政府より出される基本方針に対するパブリックコメントの募集期間中に開催します。日時は未定ですが、GEOCホームページ、またはメールマガジンでお知らせいたします。


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