瀬戸内トリップ②”里山資本主義”の舞台を訪ねる ~エコティークな民家~

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さーて、うどん県に別れを告げて、瀬戸大橋を渡り、桃太郎市?を通過し、おしい県に向かいます。

出かける前に、2014年の新書大賞にも選ばれた、里山資本主義(藻谷浩介著 角川oneテーマ21発行)を読みましたが、この本の舞台は、中国地方の中山間地域なんですよネ。本を読みながら、実際の現場やそこで生活している人たちにそれとなく興味を持っていましたが、何ともタイミングがよく、広島のステキ女子の友人が里山暮らしをこれから実践しようとする若者に会いに行くというので、連れていってもらうことにしました!

出かけたのは広島県安芸高田市吉田町。広島市内から1時間半ほど路線バスでゆられて行きます。広島の方しか分からないと思うので、敢えてランドマークを言えば、サンフレッチェ広島の練習グラウンドや、日本100名城の一つ郡山城があるところ。(余計分からない?)

着いてみると、大型ショッピングセンターやスーパーがあり、意外にも?(失礼!)都会的。迎えに来てくれた女性の方曰く、「吉田に行く」というくらい、周辺地域から買い物や用事などに来る町なんだとか。こちらの女性のだんな様こそ、本日のホストで、里山暮らしを決断された方ですが、女性は子育て真っ最中のため、いきなり、秘境のような暮らしはハードルが高く、多少の便利さがあったこの地域なら住めると思ったのだとか。因みに、本の中で、里山暮らしというと、ド田舎で何もない、未だにそんな暮らしを思い浮かべている人がいるが、今はそんなことはないんだ、と書かれていましたが、この町に来て納得。

お昼ごはんの準備のために、近くのスーパーで買い物してお宅に向かいます。車でちょっと走らせただけで、すっかり景色が里山風景に。着いたお宅は、田舎のよくある民家。“おじいちゃんち”に来たという感じ。

最近購入されたという民家は、目の前の田畑はじめ、農機具や薪、もちつきの杵や臼などのモリモリのアクセサリー一式がついてきたようです。これから若夫婦が住めるように徐々にリフォームをしていくのだとか。

本にも出てくるロケットストーブがありました!でも、火を起こすのにちょっとコツがいるんですよね~。私は下手っぴで何度も火を消してしまいました・・・(´A`。)

外では、太陽熱温水器(300ℓ)の取り付け中。古民家が着々とイノベーションで息を吹き返していきます。お風呂も現在工事中で、太陽熱温水器のお湯が引き込まれる予定だそうです。となりのブルーシートの下にはバイオトイレがスタンバっていましたし、思った以上に本格的なエコハウス・・・。エコでアンティークな家ということで、Ecotique(エコティーク)という新語を作ってみましたが、どうでしょ~?

お腹空いたなぁ~と思っていたところ、ゴハンとトン汁が登場~。
あっ・・・!私が道の駅で買ったきのこがいつの間にか消えていたと思ったら、味噌汁の中に・・・。( ̄▽ ̄;)
食後のおやつに?餅つき体験をしてみましたが、へっぴり腰で機械みたいだとダメ出しが・・・。修業が足りないようです。

今日はホストのご友人らがたくさん集まってきていましたが、皆さん、共通して30代の美男美女夫婦で小さなお子さん連れ。聞けば、元々は大手予備校講師やら大企業のOLさん、国際協力機関で働いていた人など錚々たるメンバー。本の中でも言っていたエリートが里山に集まってくるというのは本当みたいです。築7-80年の古民家で”懐かしい未来”が生まれています。

それにしても、今回の訪問で、普段、グローバルなことをローカルに落とし込みたい、なんて発想を持っていた自分に反省。ヾ(_ _。)むしろ逆なんですよね。ちょっと恥ずかしくなりました。ここんとこ、ESDやSDGsとか言葉だけ先走って頭でっかちになっていましたが、ローカルにはSDの先進的な事例が沢山。東京や国というくくりだと様々制約があって、なかなかできないことを、地方がフットワーク軽く、一歩先に実践している。そして若い人たちがイキイキしている♪

だからといって、本でも書かれていますが、皆が里山で暮らそう、マネー資本主義は悪!ということではなく、里山資本主義を平常時にはサブシステムとして、万が一、マネー資本主義が機能しなくなった時はバックアップシステムと機能させようという考え方に納得しました。3.11を契機に、オール電化住宅に住む人たちや大規模集中的な方法でしか食糧や物資の調達をしていなかった私たちは少なくとも、そのことを身をもって気づいたハズなので、今のライフスタイルやモノの調達などを1割でも2割でも小規模分散に変えていく・・・。”里山スタイル”は哲学的な意味だけではなく、リスク管理の点からも重要なんですよね。

夕方、目からウロコな気持ちで広島市内に戻ってきました。( ̄。 ̄)
夜、お好み焼き屋さんでゴハンを食べていると、カランッ♪(お店のドアが開く音。)「いらしゃっい!」あっ・・・。
隣に座ってきた方が何とこの3月までEPO受託団体だった、ひろしまNPOセンターのN氏。
広島、狭すぎますな・・・。

つづく
最終回は、瀬戸内トリップと言えばやっぱりコレ。

s.shirai