概要
MESCOTイニシアティブは、マレーシア・サバ州、キナバタンガン・スプ森林保護区キナバタンガン川下流域において、地域住民の暮らしを守りながら、森林生息地、野生生物および生物多様性の保全を図ることを基本としている。1997年に、バツ・プテーのコミュニティの地元の先住民族(オラン・スンガイ族)によって創設された。
オラン・スンガイ族は、2003年に、村人による保全活動と地域に根差したエコツーリズム活動をコーディネートするために、村を基盤とする協同組合(KOPEL社)を設立している。KOPEL社は、MESCOTイニシアティブの森林生息地再生・植林活動のスポンサーとなる外部の資金源を探している。KOPEL社では、湖の再生とオオサンショウモの除去に関する自社のプログラムに資金を拠出している。この活動は、現在進められているエコツーリズムによる収入とボランティア活動によって支えられている。バツ・プテーのコミュニティとキナバタンガン川下流域の生物多様性保全は、ビジターによる支援、このイニシアティブを支援する官民の機関とともに、全ての村民とボランティアによる献身的な働きによるところが大きい。
今日では、全てのMESCOTイニシアティブが、バツ・プテー・コミュニティ・エコツーリズム協同組合(KOPEL社)の傘下に置かれている。この地域に根差した協同組合は、以下のような村のエコツーリズム活動を結び付け、コーディネートしている。
・ミソ・ワライ・ホームステイ・プログラム
・Wayon Tokouネイチャー・ガイド協会
・Mayo do Taludボート・サービス
・MESCOT文化グループ
・タンゴッグ熱帯雨林エコキャンプ
また、以下のような保全活動も結び付け、コーディネートしている。
・氾濫原森林生息地の回復
・湿地・湖沼の回復
MESCOTの精神は非常に活気にあふれており、バツ・プテーのコミュニティのメンバーの多くは、MESCOTという通称で呼ばれることを好んでいる。MESCOTイニシアティブは、エンパワーメント、チャンス、希望の精神を具体化するものである。MESCOTは、既に、バツ・プテーの4つの村の若者世代を鼓舞しており、キナバタンガン川下流域における長期的な保全と経済発展のモデルであり続けることを望んでいる。
パートナーシップのポイント
・MESCOTイニシアティブは、地域の先住民族コミュニティが、持続可能で、代替的な経済活動を展開することを支援するため、キナバタンガンのバツ・プテーのコミュニティにおいて創設された。
・ MESCOTは、ピン・スプ森林保護区の保全を支援するため、サバ森林局と14年以上にわたって協働してきた。
・1999年から、 MESCOT森林生息地再生プロジェクトでは、川岸の重要な森林において、28万本以上の固有種の樹木を植林した。
・プロジェクト実施1年目の終わりまでに、記録された観光客の数は170人、宿泊数は760泊に上った。2年後には、観光客は2981人、宿泊数は7,400泊に増加した。収入は、3万8,000マレーシア・リンギットから、190万マレーシア・リンギットに急増した。このプログラムによって、パートタイム・ベースで、200人分以上の雇用が創出された。
・このプログラムは、特に観光収入を将来にわたって確保し、自然環境を保全する経済的なモチベーションを生み出すのに役立っている。また、参加したコミュニティにおいて、持続可能な収入の創出、貧困削減に大きく寄与している。
カテゴリー
事業協力・事業協定
テーマ
森林保全、ESD・環境教育、生物多様性・自然保護、エコツーリズム
主体
MESCOT イニシアティブ(外部サイト)
パートナー
[保護]
サバ森林局(外部サイト)
LEAP 社(外部サイト)
アメリカ森林財団
[エコツーリズム]
インディー・トラベラーズ学校グループ インターナショナル・スクール・ブルネイ(外部サイト)
イントレピッド・トラベル(外部サイト)
[ボランティア]
グローバル・ビジョン・インターナショナル(外部サイト)
[その他]
CREST 持続可能なツーリズム
サバ・ホームステイ協会
調査文献サイト等
Mohd Hasim Abd Hamid. Presentation paper. 1st Asia Parks Congress, 2014