[国内事例104] 菜の花がつなぐ、地域・人・エネルギー ~菜の花大地復興プロジェクト~ 2014年3月30日

概要

菜の花大地復興プロジェクト

写真:山田周生

菜の花大地復興プロジェクト

写真:山田周生

菜の花大地復興プロジェクトは『被災農地や耕作放棄地を活用し、地域住民と連携して菜の花栽培を行うことにより、地域課題を解決しながら「食とエネルギーの地産地消」と「循環型地域」をめざす』を目的としている。

東日本大震災の津波によって、南北700km、700haを越える農地が被害や塩害を受けた岩手県沿岸部。土が流され、田んぼには汚い泥水が溜まり、瓦礫が散乱し、農機具も失い農業を続けられなくなった方がたくさんいた。そこで、行政の対策を待つだけではなく、農家の復興を少しでもお手伝いしたいという思いから始まった。

菜の花は、景観が美しいだけでなく、菜花を食べることができ、ナタネは作物として食用油を搾ることができる優れた植物。さらに、その油はディーゼル車の燃料に精製することができる。「循環型の地域」のシンボルともいえる菜の花を通じて、広くエネルギーと食に対する人々の意識や、自然と共に生きるライフスタイルを考えるきっかけを作っていくことを目的としている。菜の花は非常時の食糧、電気、車の燃料にもなり、バイオマス再生エネルギーを生む植物として有効。

ナタネの中には、他種よりも塩分を吸収しやすいものがあり、根が育つことで土を柔らかくできることも相まって、土壌を改善する効果も得られる。そういったナタネを使い、津波をかぶった農地だけでなく、沿道の花壇や荒れ地にも菜の花を咲かせ、可能な限りの塩分除去を行い土壌浄化を試みている。

活動は、地域住民と地域外から訪れるボランティアと共に行っており、地域内外の人々の交流の場や、被災地にふれ、高齢過疎の地域課題を考える機会をつくりだしている。

2012年の収穫で搾油した菜種油は、「油いっこ(ゆいっこ)」と名付けた食用油として販売。無農薬・無添加・無化学肥料、昔ながらの搾油法と、品質にこだわり、自然のままの味わいと風味が活かされている。ラベルを貼る作業は被災地域住民の収入源となり、売上げは、被災地でのコミュニティビジネスや住民へ還元するなど、地域の状態に合わせて被災地へ役立てている。

パートナーシップのポイント

・被災地支援、農業、商品生産など、エネルギーや資源が循環する地域を目指し、トータルな活動をしていること。
・将来的には街の人たちが街の活動として主体的に活動を行うことを視野に入れている。
・現在、地域の古民家を、エネルギー100%自給するエコハウス(仮称)として改築中。地域内外の人が集い、学びの場も兼ねた宿泊施設を準備中。
・ボランティアとして、被災地の地域の方々やボランティアのべ2000名以上の人々が関わった。

カテゴリ

■事業協力・事業協定

テーマ

■温暖化防止・エネルギー ■ESD・環境教育 ■大気・水・土壌の保全  ■ごみ・3R・資源の循環
■ソーシャルビジネス・CSR  ■まちづくり

主体とパートナー

□主体
菜の花大地復興プロジェクト、一般社団法人 United Green
□パートナー
「津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクト」東北大学大学院農学研究科
NPO法人田原菜の花エコネットワーク、NPO法人愛のまちエコ倶楽部、株式会社エコERC、
(有)千田清掃、地元住民、全国からのボランティア

調査文献サイト等

一般社団法人 United Green
http://unitedgreen.jp

「菜の花大地復興プロジェクト」
http://nanohana.unitedgreen.jp/

バイオディーゼルアドベンチャー(BDA)
化石燃料に頼らず、廃食油をバイオディーゼル燃料に精製して地球を走るプロジェクト
http://biodieseladventure.com

英語サイト

/english/what/case-studies/1237.html