[国内事例74] NPOがつなぎ役~伝統文化の継承、サンゴ礁保全、地場産業の振興を目指す石垣島白保集落 2012年3月29日

概要

 WWFは2000年4月に石垣島白保集落にサンゴ礁保護研究センターを開設。地域と企業、研究者など多様な主体をつなぐハブとしての役割を果たしながら、「伝統文化の継承」、「サンゴ礁の保全」、「暮らし向きの向上」に統合的に取り組む持続的な地域づくりを推進している。

 2004年 「白保持続的な地域づくりプロジェクト」をスタート。

 2005年7月 サンゴ礁保全とその持続的な利用による地域活性化を目指し、白保住民の有志により「白保魚湧く海保全協議会」が設立。農地へのグリーベルト植栽の設置など率先した保全活動やギーラ(ヒメジャコ)という二枚貝の放流・増殖に取り組む。サンゴ礁利用の自主ルールを策定したことにより、白保を訪れるサンゴ礁研究者と地域の交流・連携が可能となった。

*これらの活動には修学旅行や大学・企業研修による参加を積極的に受け入れ、参加者に環境協力金を負担してもらうことで、保全の費用を確保する仕組みの構築を目指している。

農地からの赤土流出防止のためのグリーンベルト植栽活動

 2005年9月 伝統的な手業や自然の素材を利用する知恵を活用した地場産業づくりの場として「白保日曜市」がスタート。日曜市の定着とともに、保全対策に取り組む農家の経済的なメリットを創出するために「月桃」の商品化に着手。現在は、月桃の葉や茎から抽出したエッセンシャルオイルやフローラルウォーターの商品化に取り組んでいる。


ギーラの放流干潮時に干出したハマサンゴのマイクロアトール(サンゴが死んで骨格がむき出しになったサンゴ由来の岩)にギーラの稚貝を埋め込みます。

サンゴの保全につながる商品月桃ルームデオドラント

 

 2006年 白保公民館総会で「白保村ゆらてぃく憲章」を制定。アンケート調査や資源マップづくり、集落住民に加えて、島外出身者や集落外で暮らす白保出身者の座談会など、様々な視点から検討を行なった。

 2007年 村づくりを実践する「白保村ゆらてぃく憲章推進委員会」を公民館内に設置。“ゆいまーる”による街並み修復事業や、「白保学講座」という人材育成事業を展開している。2010年度の同講座では沖縄大学地域研究所の協力の下で、沖縄県下の島おこし事例などの学習を行った。

 現在は「白保村ゆらてぃく憲章推進委員会」、「白保魚湧く海保全協議会」、「白保日曜市」、そして、WWFジャパンが連携・協働し、新しい村づくりの仕組みによる生物多様性の保全とコミュニティの再生に取り組んでいる。 

 

パートナーシップのポイント

 あくまでも主体は地域という考えから、WWFジャパンは「人づくり」「組織づくり」「産業づくり」を支援する触媒(カタリスト)としての立ち位置を保っている。 

カテゴリ

様々な主体間の連携・協力関係によるもの

テーマ

持続可能な地域づくり・循環型社会の構築

主体とパートナー

□主体
 WWFサンゴ礁保護研究センター 
□パートナー
 白保村ゆらてぃく憲章推進委員会、白保魚湧く海保全協議会、白保日曜市、沖縄大学地域研究所など
□参考サイト
 つな環17号 「白保サンゴ礁の保全に資する持続可能な地域づくり」
 白保村ゆらてぃく憲章推進委員会
 白保魚湧く海保全協議会
 沖縄大学地域研究所