イノベイティブ・コミュニティー
Innovative Communities
イノベイティブ・コミュニティー ~地域主体の環境管理手法~
イノベイティブ・コミュニティーは国連大学(UNU)と国連環境計画(UNEP)による協働プロジェクトです。本プロジェクトでは、「革新性」という概念を地域社会にあてはめ、地域主体の環境管理を成功へと導く要因を探ります。
背 景
地球環境問題の多くは、地球規模ばかりでなく、地域レベルでも大きな影響を与えてきました。又、地域社会は多様な資源を持ち合わせ、社会における活力、原動力そのものであり、まず「地域社会」こそが、環境問題のもたらす影響に対応し、必要な解決策をとらなければなりません。
近年、地域環境管理の成功に不可欠な、地域社会の果たす役割とその立場の重要性が注目されてきました。アジェンダ21のほとんどの章において、地域社会を、主要なステークホルダーとして、又は知識や発想の源として考える必要があると強調されています。
これまでにも、地域社会が、環境問題に対する政府の対応を待つのではなく、自ら様々な取り組みを行う能力を身につけ、問題解決へとつなげる努力がなされてきました。そして、それらの活動の多くは、社会が「革新的-イノベイティブ-」であることの重要性と、そのために必要不可欠な要素を示しています。それらの要素は、地域環境管理が成功するための前提条件であり、更なる調査研究が必要とされています。
これらの事項を念頭に置き、「革新的-イノベイティブ-」な地域環境管理の手法について深く追求し、方法や方策を探ってゆくため、国連大学と、国連環境計画、技術・産業・経済局では、共同プロジェクト「イノベイティブ・コミュニティー:~地域主体の環境管理手法~」を立ち上げました。
本プロジェクトは、地域社会の中の個人ではなく、地域社会全体における革新性そのものを際立たせてゆくことが狙いです。ここでは、その革新性を、地域自らがa)直面する環境問題を理解し分析する、b)地域にある資源を確認し、育成・有効活用する、c)環境活動を計画、実行し管理するための能力と考えます。
概 念
「イノベイティブ・コミュニティー」プロジェクトでは、地域社会が「革新的-イノベイティブ-」である為には、次のような特性を兼ね備えることが必要であると考えます。
- あらゆるレベルにおいて、人々の活力と創造性を高めてゆく。家庭と地域の両方において人々が行動する能力を高め、力づけ、実際の必要性に応じて技術を応用してゆく。
- 包括的な取り組み。人間生活の基本的要求を認知しつつ、それを開発や、貧困撲滅、環境の持続可能性、そして環境資源の統合的な管理と関連づけてゆく。
- 責任や、配慮あるリーダーシップと管理体制。長い間に慣例化された行政の役割を変え、一般家庭や地域社会の環境活動において、信頼性のある責任体制を築いて行く。
- あらゆる参加主体の間の連携。様々な参加主体間で責務を分担し、協働し、技術面において専門知識を統合することを奨励していく。
目 的
本プロジェクトのもとでは、地域社会が、そこに暮らす人々が主体となり、従来とは異なる方法で環境管理を成功へ導く重要なカギとなる要素を「革新性―イノベイティブネスー」と呼びます。
プロジェクトの目的は以下の通りです。
- 地域主導による環境管理を成功へ導くイノベイティブな要素の抽出
- イノベイティブ・コミュニティーで使われる手法の定義づけと規定、
- それらの、他都市・地域への普及・啓発
方 法
イノベイティブな手法を確定するため、調査研究、ミーティング・会議参加、そして現地調査などによって情報収集を行います。専門家会議や、ブレーンストーミングを行い、イノベイティブ・コミュニティーの枠組みづくりや、さらなるフォローアップ活動をします。
調査研究
地域の環境管理活動の現状をつかむため、文献その他関連資料の収集を行います。さらに国内外の地方自治体やNGOのネットワーク、そして国際機関などの独立組織、学術機関、NGO、地方自治体と連携していきます。日本国内で、環境管理において成功している先進的な取り組みを行っている自治体や地域との協力を図ります。
会議への参加
国際・地域会合や、その他の会議に参加し、地域レベルで直面する問題や、それに対して採られている解決策などへの理解と分析を深めます。その過程で「イノベイティブ・コミュニティー」の概念を取り入れてゆく方策、方法についても検討します。プロジェクトの概念や、方法について議論を深め、さらに普及させるため専門家会議を開催します。それにより、団体・個人とのネットワークをひろげ、プロジェクトの成果や結果を活用させていきます。
現地調査
取り組みの成功に寄与した要素を抽出するため、現地調査を行い、集めた情報を分析します。その分析を踏まえ、より良い地域環境づくりに必要な、イノベイティブ・コミュニティーの基本的な枠組みをつくりあげていきます。
最終成果
本プロジェクトにおいて、調査結果を紹介したホームページを含む様々な成果物を出していきます。ホームページ上では、ケーススタディや、イノベイティブ・コミュニティーがどのように運営されているかについての洞察、それらの地域を動かす原動力や要素を含めて紹介します。又、ホームページ上の情報を補う目的で、概要、背景、そしてケーススタディに関するより詳細な情報をのせた報告書を発行します。又、地方自治体職員や、地域の環境管理に携わる関係者を対象とした研修の開催、シンポジウムやワークショップでの発表や展示を通し、プロジェクトの活動成果を提示していきます。そして、イノベイティブ・コミュニティーの概念作りに参加した団体やネットワークを通し、知識や情報の他地域での適用可能性を含めたさらなる相互交流を狙います。
以下のリンク先の言語は英語となります。
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