自然と人間

こんにちは。
今週はGEOC/EPO ともに出張が多く、ポツン感の漂う新人のTです。ポツン。

さて、先週の土曜日、個人的な興味があってこちらのイベントに参加してきました。
「地球で生きるために~福岡正信インドへ行く~」「2013年11月8日レイテ島、台風ヨランダ上陸」上映
NPO法人サルボンさんが制作した、ドキュメンタリー映画の2本立てです。
とっても考えさせられるイベントだったので、まとめてみますね。
お暇な方はドウゾ♪

福岡正信さんについては、自然農法で有名な方です。
調べるといろいろ出てくると思います。
私自身、すんごい勉強したわけでも、農業をやっているわけでもないので、知ったか発言は避けたいところですが、興味はあるわけです。

「農業」というふうに、産業という目線からではなかなかこの方のお話は入ってこないかもしれません。
僕はサラリーマン、あなたは農家、あなたはお医者さん、きみは学生…というような考え方の枠は取り払って、
ただひとりの人間として聞きたいお話し。
そして、農業ではなく「農の営み」と考えたとき、私たちの誰にも無関係なことではないというのはお分かりいただけますよね。
では、私たちの口に入る食べものは、どこからできてきているのでしょう。

 

畑?田んぼ?
惜しいですね~

 

え?土?
近い!

 

土は、何からできていますか。
目には見えないバクテリア、菌、生きもの、鉱物、その他の複雑な多様性の網が幾重にも重なって、土、と呼ばれてますね。
何が始まりかは、見たことないので何も言えませんが、その上に種が落ち、実がなることで収穫できるというのは確かなことです。
しかし、植物が育つには、「いい土」でなければなりません。
痩せ細った、ガチガチの土ではどうにもなりません。

 

では、いい土には何が必要でしょう。
先ほども書いた、目に見えないレベルからの生きものの多様性です。
様々な生きものが関わりあって形成される、生きもののネットワークです。
それを育むには、太陽、水、風、木などのエレメントが必要ですね。
つまり、いい土を得ようと思ったら、自然の循環、地球のパワーが必要です。

なので、答えは「地球」です。
小学生のいじわる問題のようですが。笑
私たちの口に入る全てのものは「地球」からできています。
私たちは「地球」を食べて生きているんですね。
私たちも「地球」の一部なんですね。

 

そういう目線で福岡さんの考えを聞くと、いかに今私たちが地球に負荷をかけて暮らしているのかを考えざるを得ません。

たくさん作物を収穫してたくさん流通させるために、ここ数十年の日本の農業は進化してきました。
たくさんの農薬を使い、たくさんの肥料を開発し、虫を殺し、草を枯らし、自分たちにとって必要なものだけを立派に育てることに心を砕いてきました。
その歴史を否定するわけではありません。
そうしなければ保てなかった暮らしがあります。
でも、いつだって省みることは必要ですよね。

 

その結果、
薬に強い外来種だけが繁茂する畔、
または薬に耐性を持つようになった雑草(とよばれる草)や害虫(と呼ばれるただの虫)の発生。
それによってバランスを崩した土は、自力では元には戻れません。
結果として、薬や肥料に頼ることをやめられなくなっているのです。

人間が加えたほんの少しの手でも、自然は壊れて、すぐには元には戻せない。
福岡さんはそう言います。
自然の力に任せておけば、生きものが土を耕し、植物は自分でしっかりと根を張り、しかるべきタイミングに花が咲き実がなる、と。

このドキュメンタリーの中には、福岡さんがインドに行って自然農法のレクチャーをする様子があるのですが、
その自然界の複雑なつながり、その中で生きている自分たちというものを認識できなければ、どんなに研究しても自然農法はできない、と厳しく言います。
実践している農園に行っても、一瞬で人為の跡を見抜きます。
そして「これも失敗、ミステイクだ」とはっきりと言います。

今はもうお亡くなりになった福岡さんですが、
作中でこんなことをつぶやいていました。

 

「今のままで、地球は2020年を迎えられると思うかね。そんなことを心配するのは凡俗だと思うかね。君はどう思う。」

 

 

そのことばに、ピリっと来ました。

 

「地球で生きるために」 というタイトル。
それがそのまま、福岡さんが私たちに残していったメッセージですね。

これは単なるスゴイ農家のノウハウシリーズではないです。
もしも興味があったら、ぜひ彼の著書をご覧ください。

 

2本目の、レイテ島を襲った台風のドキュメンタリー映画ですが。
福岡さんのを見たあとでは受け取り方もより深くなります。

 

人はほんとうは何も知らない。
小さな葉っぱの一つでも、人間は作り出すことはできない。
福岡さんが、著書の中でそういうことを書いています。
自然をコントロールできるなんて思うことが間違いで、こんな風に、一瞬ですべてを吹き飛ばされることもある。
そのことを忘れずに、自然と向き合っていかなければならないな、と感じました。

 

2本目の映画には、台風の被害だけではなく、戦争、歴史、文化、3.11など、もっといろいろなテーマが潜んでいましたが、そのことはまた別な機会にでも触れられたらと思います。

奇しくも本日はレイチェルカーソン生誕107年の日
自然と自分のつながりについて、考えをめぐらせてみてはいかがでしょうか。

A.T