まちづくり参加者から当事者へ。あなたの「フレッシュな問い」は何ですか?

先日、「自分ゴトのまちづくりの未来 ~まちづくり×フューチャーセッション~」に参加してきました。

「フューチャーセッション」という聞きなれないこの言葉。

「最適解のない複雑な問題を解決するために、 企業・行政・NPOなどのセクターの壁、
組織内の部署の壁、専門分野の壁など、 立場の違いを超えた対話により、
協調アクションを生み出す場」


として、日本でも数年前から広がってきています。

実は、GEOCでも、2年前のフューチャーセンター・ウィークの際から開催に協力してきています。


■「まちづくり参加者」から「まちづくり当事者」に

今回のセッションでは、「まちづくり」をテーマとして、多様な参加者が集まりました。

先ずは、フューチャーセッションとは何なのか、セッションを繰り返してきた結果、
どういうことが見えてきたのかをシェアしてもらいました。

話の中で印象的だったのは、「まちづくり参加者」から「まちづくり当事者」になりましょう、という言葉でした。

ここでの「当事者」という意味は、自分から能動的にまちにポジティブな変化を起こす行動をする、
という意味合いで語られています。

まちづくりの活動にただ「参加」するだけでなく、自ら変化を起こす渦をつくりだす。
巻き起こってきた流れに対して、巻き込まれて(参加者になる)、
さらに、自分が実現したいことを巻き起こしていく(当事者になる)。

自分がまちの主役になる、という解釈でもよいかもしれません。

この話の後、「私はどういう未公認のまちづくり当事者になりたいか」という、投げかけをもらい、
参加者が各々、語り合いました。


■不確実性の低い未来と高い未来

まちづくりに限りませんが、何か社会的な問題にぶち当たった時、
未来はどういう状態になってほしいか、ビジョンを描きます。

未来の描き方には、2つの方法があります。

1つが「フォアキャスティング」、
もう1つが「バックキャスティング」です。

「フォアキャスティング」は、いまの延長線上で積み上げて考えていく方法です。
つまり、自明である現在と過去の事実から未来を描くという、
どちらかというと、不確実性が低い未来を描くには適した方法です。

一方、「バックキャスティング」は、ありたい未来像を描き出し、
そこに到達してくために、現在から逆算してギャップを埋めていく方法です。
こちらは、不確実性が高い未来を描くには適した方法です。

まちづくりも含めて、社会問題と位置づけられる複雑な問題は、
「単純な問題」「煩雑な問題」「複雑な問題」の3つに分かれると考えられています。

このうち、「単純な問題」「煩雑な問題」は、難しいが、必ず解けるとされます。
つまり、「フォアキャスティング」と親和性が高い問題です。

「複雑な問題」は、矛盾やトレードオフ関係があり、考え方の転換や構造の変化などを
起こさないと解決できないとされており、「バックキャスティング」が向いています。


■私の「フレッシュな問い」はなんだろう

未来像を描くために大切なことは、「問い」を持つことです。
「問い」とは、みんなを未来志向にさせる、ワクワクさせるものです。

例えば、「公害地域はいまも疲弊している。語り部も高齢になっており、次世代に伝えられない」
という問題があったとします。

これをワクワクさせる問いに変えると、
「公害地域を光街(こうがい・ひかるまち)にするには?」
「途上国に股を駆ける次世代の語り部を育てるには?」
と、一瞬、荒唐無稽に思いますが、言葉を反転させて、視野を広げてみることで、
ワクワクしてきませんか?

フューチャーセッションを開くとき、ファシリテーターまた当事者は、
まちに対する不満や不安を「フレッシュな問い」として、場に提示することが大切。
という話が今回されました。

この「フレッシュな問い」から始まり、対話の場を用意し、新しい関係性をつくり
協働アクションにつなげて、社会的インパクトを生み出していく、
これらの一連の流れがフューチャーセッションと言えます。


ここで書いてきた内容は、実は、私たちGEOC/EPOが常日頃から仕事として
取り組んでいることと同じです。

ただ、無意識に行っていることもあり、改めて、文字に起こしたり、
人から説明を受けることで、意識的に行えるようになる気がします。



Takayuki Ishimoto