ソーシャルセクターの事業を振り返る、7つの評価視点

事業のPDCAサイクルを回して行く時、きちんと振り返りをして、
次の計画にフィードバックしていくことが大切です。

国際協力の中では、DAC5という事業評価の視点が用いられています。
これは、支援事業の効率性や計画妥当性などを検証するためのものです。

この評価視点は、非営利(ソーシャル)セクターの事業においても有効です。
ただ、その視点に、市民参画、協働の視点も加味すると、より、深く検証することが可能になります。

以下、私たちが協働取組推進事業で振り返りに利用した、
非営利セクターの協働事業を振り返る7つの評価視点のご紹介です。


■効率性
「事業へ資源投入(人的・財政的資源等)がどれだけ効率的に活かされたか。」

スタッフ配置や、協働主体の役割分担が適切だったか、経費支出の適切性を判断します。

■効果―目標達成度
「事業の目標はどれだけ達成されたか。」

ここでの目標には、地域、社会の問題(ニーズ)の解決にどの程度貢献したのか、
また協働事業としてのPDCAを回せたのか、人材育成の機会を設計し、
スタッフの成長は見られたのか、というところまで含みます。

■関係主体の巻き込み度合い
「地域における挑戦者、企業、大学、自治体、地域住民等をどれだけ巻き込むことができたか。」

これには、各協働主体のニーズを把握し、共通ビジョンを構築できたのか、
信頼関係を構築することができたのか、といった点を評価します。

■受益者の満足度
「地域における挑戦者、企業、大学、自治体、地域住民等のニーズや期待に応えることができたか。」

応えることができたかは、把握する取り組みをしたのかという点と、本音を語り合う機会を設けたのか、
という点で評価します。

■社会的インパクト
「事業が社会に対し、どのような正負の影響を直接・間接的にもたらしたか。」

知名度が上がったのか、政策提案に繋がったのか、実際に問題解決に繋がったのか、
横断的課題へ影響を与えられたのか、といった点を見ていきます。

■計画妥当性
「年度当初の事業との計画事態は妥当であったか。」

常に計画との比較を行い、計画と結果のずれをどのように判断し、機会を活かすようにしたのか。

■自立発展性
「事業自体が自立発展的なものかどうか。」

協働実施のための基盤(責任と役割の明確化、偏りがないか)が構築できたか、
資金調達計画はどうなっているか、実施するためのノウハウは蓄積されているか、
といった点から評価します。


これらの評価視点で事業を振り返る時に大切なのは、批判的にだけ見ないようにすることです。
具体的には、良かったこと、悪かったこと、改善することの3つの要素でバランスよく評価することです。

そういう点では、KPTというフレームワークと組み合わせることが好ましいのではないか、
と今の段階では考えています。

Keep(続けたいこと、良かったこと)、Problem(問題点、悪かったこと)、Try(改善すること、工夫すること)
を省略したフレームワークです。


こういうことをいつも念頭に置きつつ、伴走支援をしています。
皆様の事業の参考になれば幸いです。


Takayuki Ishimoto