あなたもできる!地域円卓会議のヒケツ

マルチテークホルダーで対話と協働を進めていくための方法論として、「地域円卓会議」があります。
沖縄、秋田、島根、茨城、その他全国各地で徐々に広がりつつあります。

昨日、「地域円卓会議フォーラム2014~地域の課題に、対話と協働で挑む~」が開催されました。
私も参加していたので、「地域円卓会議」について、私が興味を持った点を少しだけお伝えします。

地域円卓会議フォーラムの様子


■テーマは曖昧にしない。困ったことは参加しやすい。

円卓会議を開く際に、大切なのは、テーマの設定になります。
これは、フューチャーセッションでも同様に、「問いの設定」と言われるものです。

要は、いったい、何を話し合うのかを予め決めていなければ、何も話せないと言うことです。
さらに、話し合うことを決めていても、上手く進められないケースがあります。
それが、「曖昧なテーマ設定」です。

例えば、どんなものが曖昧になるのかというと「地域活性化」という言葉です。
「地域活性化」という言葉は、よく使われますが、それぞれの立場によって、如何様にも解釈できます。
つまり、地域活性化を如何に具体的に説明できるかがカギになります。

具体的にする際に、参考となるのは、「誰かの困りごと」であることです。
「困りごとには、参加しやすい」という講師の言葉が印象的でした。

ただ、「地域の安全・安心」というだけではなく、
「大雪の際に、高齢者が雪かきをできないからなんとかできないか」、
といった切実な困りごとをテーマとした方が、参加の方法も解決策も話やすいということです。


■ペチャクチャタイムで対話を深める。

円卓会議で、参加者全体で話をする設計はなかなか難しいです。
けれど、部分的にでも参加者全体で話をして、対話の展開に活かすための方法論として、
沖縄式の地域円卓会議では、「サブセッション」と呼ばれる時間を設けています。

円卓にいる人たちが話をする時間(メイン)を2回取っており、その間にサブセッションを挟みます。
サブでは、円卓の外にいる人たちも含めて、隣り合う参加者で話し合ってもらい、
1回目メインで話し合われていたことを踏まえて、2回目で話していく内容を深めるものです。

このことをペチャクチャタイムと呼ぶ方もいますが、話を聞いているだけでなく、
話をしたくてうずうずしている人たち同士で5分でも、10分でも話してもらうことで、
聞いていた中での気づきや感想が共有されます。

そうすると、その円卓会議の場の中で、大切にしたいテーマが浮き彫りになってきて、
次にメインで話し合うことにつなげていくことができるということです。

円卓になってみんなで対話


■”VS”から”&”の関係に!

円卓会議形式にすることで、一方通行の形になりにくくなり、
また前向きな意見が出てきて、意見を交わすことでお互いの理解が促進される、
という報告がありました。

ここで肝となるのは、誰が音頭を取ってもいいですが、
音頭を取った人ではなく、参加者に当事者性、主体性を持ってもらえるかです。

例えば、行政とNPOであれば、「VS」のような対立構造では、円卓会議は成立しません。
地域の課題を解決するからこそ、行政もNPOも企業も総動員で、お互いに「&」の関係性に切り替わらないといけません。

島根県雲南市では、地域円卓会議を導入して、小規模多機能自治の取り組みが進んだことで、
行政が「やってくれない」というマインドから、「やらせてくれない」という嬉しい不満が市民側から
あがってくるようになりました。

このマインドの転換こそ、まさに「VS」の対立ではなく、「&」の協働と言えます。


ここには書き切れないほど、様々なヒントがたくさん詰まったフォーラムでした。
勘違いしてはいけないのは、必ずしも円卓会議をすれば成功するわけではないということです。

テーマの設定が顕著ですが、場所によって、何が大切であり、どのような進め方が適切なのか、
全てが生ものなので、正解はありません。

もし、この記事を読んで、興味を持たれた方、まずは「地域円卓会議のススメ」を読んでみて、さらに詳しく知りたい方は、沖縄式円卓会議をお取り寄せください。


Takayuki Ishimoto