環境省職員研修 2012年1月25日

環境省職員研修:環境行政基本研修
「NGO・NPOと環境行政」

開催期日:4月10日(木)15:30~17:00
会場:環境研修センター(埼玉県・所沢)
テーマ:「NGO・NPOと環境行政」
講師:川村研治(EPO/GEOC)
主催:環境省(対 象:環境省職員85名)

メインメッセージ

よりよい行政とNGO/NPOの関係をつくるために、以下の3点を意識していただきたい。

1)行政は限界を自覚し、切実な課題に対して市民とともに向き合う
2)NGO/NPOとの何らかの協同を作る場合は、明確な達成目標を共有し、決定のプロセスをともにすること
3)事業のプロデュース、コーディネート、マネジメントサポートにNGO/NPOの中間支援機関を生かす
地球環境パートナーシッププラザは、これまでの環境情報センター機能とNPOエンパワメント機能から、行政や自治体のNPO/NGOとの協働を支援し、パートナーシップの担い手である中間支援団体・人の育成に機能を移します。地方調査官事務所を始めとするパートナーシップ型の事業推進の担い手のみなさま、一緒に事業をやっていきましょう。

概要

(1)自己紹介&GEOC/EPOの紹介
(2)公益法人改革とNGO/NPO
(3)中央環境審議会中間答申「慣用保全活動の活性化」にみるNGO/NPOとパートナーシップ

概説

・NPOとは・・・「非営利で公益を目的とした活動をする団体である」。

NPO法人とは98年に12分野において、不特定多数の利益のために働く団体としてNPO法で規定、その後2002年10月に5分野追加された。遵法主義であるために、書類の形式さえ整えば、認可は簡単に認可。5年間で1万団体(環境分野は3割-実質的な環境系NPO法人は1割程度)。原則非課税。

中間法人とは民法34条の特別法で定められた法人格。業界団体や同好会など共益のための互助組織であり、所轄庁の認可が不要。原則課税(収益の3割)。任意団体とはNPO法人、中間法人共にデメリットが多い。96年の実態調査(経企庁)10万団体

公益法人とは民法34条で規定された、社団、財団などの公益を目的として活動する法人。原則非課税。しかし、近年、共益の追求に堕していたり、官公庁の天下り先となっていたり、不祥事が多いなど改革の必要性に迫られている。

・公益法人改革のうごき

新しい法人格「非営利法人」=中間法人+公益法人+NPO法人 をつくり、原則課税(収入-支出の3割)という提案が出そうである。(行政改革・規制改革担当/財務省・税制調査会非営利法人課税ワーキンググループ/) 制度改革と税制改革を別の組織で論議している点、や拙速に結果を出そうとするあまり、公益法人の腐敗を正すという本来の目的の中に、NPO法人が混在化し、市民活動の活性化が犠牲になりそうであることが問題点。NPO界から担当大臣など関係諸方面への申し入れがされている。

・中環審で謳われているNPO/NGOとの協働の機会拡大について

従来の行政における施策を啓蒙普及するという方法に限界がきている。一方、市民の自発的な環境保全活動への参加気運が高まっている今。NPOの役割を正しく認識し、「実質的に持続可能な社会を構築する」為にパートナーシップを築いていこう!

・NPOが得意なこと

行政のタテワリを超えた横断的活動や市民に近い立場から市民を巻き込んで活動すること。また、市民の立場でぎょうせいや企業をチェックすることが得意である。スタッフがボランティアであったり、実施方法がボランティアを使う機会が多いから安上がりの行政手段として使われるケースが多い。これは行政による市民活動を弱体化している。

・パートナーシップによる意義

行政だけでは難しい「社会のあり方を積極的に変える」ということに対してあらゆる構成主体が自覚的、主体的に参加し、責任をはたすということ。また、書く主体の持っている人材や技術や資材などの資源・資金を有効活用できる。

・行政とのパートナーシップにおける課題は3点

対立・・・NPOは行政といつも協力関係にある訳ではなく、時として反対運動も展開する。その時に、従来目的を共有していたはずの、協働関係までが壊れてしまうケースがある。(市長の開発計画に反対したNPOの拠点利用許可取り消しの例)

競合・・・(民業圧迫)NPO・市民のつくったシステムを行政が真似をして実施することにより、先進のNPO・市民のシステムが弱体化してしまうケース。(手づくりの古着リサイクルシステムに対して、行政が広報援助、回収量が大きくなりすぎ、需給バランスを崩し、手づくりシステムは崩壊)

下請け化・・・委託業務の仕様が余りにも厳密でNPOの良さが発揮できなかったり、NPO法人に対して天下り要請する行政マンが発生している。

システムの違い・・・流れる時間が違う。行政は10月に事業決定し3月31日までに執行が原則。また、行政担当者は入れ替わる。NPOは資金がない分、時間を掛けて事業や議論を積み重ねて熟成させていく。また、ボランティアと一緒に活動することにより、人材の不足・資金の不足・技術能力の不足を補っている。

報告:小野亜由美(GEOC)2003.04.11