【開催報告】2050年の環境・社会・経済~これからの私たち~GEOCトークセッションVol.5水と考えるまちづくり、東京2020大会アクション


開催概要

日 時 2020年2月19日(水) 14:00~16:00
場 所 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)セミナースペース
主 催 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
共 催 持続可能なスポーツイベントを実現するNGO/NPOネットワーク(SUSPON)、環境省
協 力 Refill Japan(水Do!ネットワーク)、日刊工業新聞社、株式会社OSGコーポレーション
助 成 地球環境基金

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開催内容

藤野純一氏

(地球環境戦略研究機関(IGES)都市タスクフォース プログラムディレクター、東京オリンック・パラリンピック組織委員会 街づくり・持続可能性委員会委員/脱炭素ワーキンググループ座長)
「東京2020大会におけるサステナビリティ推進の概要」
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東京オリンピック・パラリンピックのサイトに「持続可能性」というページがある。そこにはオリンピック・パラリンピックと持続可能性と東京2020大会のコンセプトが記載されている。5つの主要テーマ①気候変動②資源管理③大気、水、緑、生物多様性④人権、労働、公正な事業慣行等⑤参加、協働、情報発信を定めて具体的な取り組みを進めている。また、調達する主要なものに持続可能性への配慮を含めた調達コードを定めている。


計画当時は持続可能性という横櫛をさすのに非常に苦労した。

当初は「低炭素」ワーキンググループ(※以下WGへ略)だったが、パリ協定採択後、東京大会でもゼロを目指すという取り組みをすすめることを示すため「脱炭素」WGに名称を変更した。 「脱炭素」WGで議論した取り組みとして、1)CO2の排出量を把握すること(カーボンフットプリント)、2)CO2を削減する対策を実施すること(回避策、削減策、相殺(オフセット))、そして3)計画を確実にする実施するためのカーボンマネジメント、を行った。
東京2020大会の持続可能性に関係する検討を5年間行った中で、最初にメディアに大きく取り上げられたのは木材調達だった。木材調達をはじめ、国が指針を持たない項目について方針を決めるのに、大変苦労した。
事務局は政府、東京都、スポンサー企業等で構成されており、街づくり・持続可能性委員会の大きな役目は、IOCに対して持続可能性レポートを提出することにフォーカスしていった。
2012年のロンドン大会は組織委員会のヘッドの直下にサスティナビリティ室があったが、東京大会では当初は52あるファンクショナル・エリアの1つに過ぎなかった。それは、日本の場合はサスティナビリティが環境の分野の部署に入っていることが多いことが背景にあろう。最終的に総務局の下に位置づけられたが、SDGs的なことを組織として横断的に取り組んだ経験値が少ない中、オリンピック・パラリンピックのような時限付きのメガイベントをアドホック(※ad hoc 特別な、暫定的)な組織・体制で行うことは、今から振り返るととても難易度の高い仕事だった。 今後は、ここで得られた経験を各自の組織にサステナビリティを落とし込んでいったときに、現場でどのようなことがおこり、どのような対応をしていけるのか、それらの経験を積み重ねていくことが重要である。
東京2020大会は2020年7月から9月の間で終わるが、これがたとえば国の施策になったり、参画したステークホルダーの今後の活動につながるなど、最終的にレガシー(大会開催を契機として社会に生み出される持続的な効果)となることが重要である。

瀬口 亮子氏

(水Do!ネットワーク事務局長)
「東京2020のレガシーとしての給水スポットのまちづくりへ」
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水Do!(スイドゥ)キャンペーンの開始のきっかけは、ペットボトル等のワンウェイ容器に入った飲料を大量に消費するライフスタイルへの問題提起だった。
1997年容器包装リサイクル法による自治体の分別収集がスタート、それに先駆けて1996年、業界が自粛していた小型ペットボトルの生産を開始した。
ペットボトル飲料の中で、特に増えたのが水とお茶で、これらは以前では買って飲むものではなかった。小型ペットボトルの登場でどこでも買える、手軽、持ち運べるという便利さから増え続けてきた。
一方、日本は世界でも珍しい「ペットボトルだけを分別回収する」制度であるため、リサイクル率は非常に高く9割に達している。そのため、「リサイクルしているからエコ」と多くの人が錯覚していることが問題。
ペットボトル飲料水を作るために、重い液体の輸送や自販機等での冷蔵で多大なエネルギーを消費し、多くのCO2を排出している。そしてリサイクルにも多くのエネルギーを使うため、環境負荷の低減効果はごくわずかである。これは容器の素材を紙や缶に代えてもほとんど同じ。使い捨て容器に入った飲料ではなく、水道水を選ぶことで、環境負荷を大きく減らせる。
また、水道水は河川や地下水、水源の森からきている。水道水を飲むことを通して、地域の水資源を守る意識を育むきっかけになる。さらに、街に誰もが利用できる魅力的な水飲み場等のインフラを増やすことで、人にやさしく潤いのある社会を作ることにもつながる。
東京2020大会の招致が決まったときから、水Do!では、熱中症対策として、会場内外での給水スポット設置を提案してきた。真夏の東京での開催は危険でありピンチであるが、街を変えるチャンスにすることもできる。給水スポットこそが、大会後も市民や来街者にとってのレガシーになる。
そして、気運が高まった昨年5月、日本全国に給水スポットを広げるために各主体が協働するプラットフォームとして、Refill Japanを立ち上げた。
Refill Japanの戦略で最も大事なのは、地域の人たちが主役であること。給水スポットの開拓や地域で普及啓発活動は、日ごろから地域で活動する地元の人々でなければ効果的、継続的な活動にならない、そのためには地域ごとに市民団体、行政、事業者が連携して推進する体制をとっている。
Refill Japanのツールの一つは、スマホで見られる給水スポットマップ。地域団体が確認した水飲み場や給水協力店舗を、マップに登録している。例えば、東京では都営地下鉄全駅に清潔な水飲み場がある。
また、Refill Japanは、日本初の水道直結式仮設給水機を導入した。水道直結なので、大規模イベントに対応可能。2019年は京都の祇園祭など、4つのイベントで導入し、普及啓発活動をしながら利用者数をカウントした。マイボトルへの給水よりも、直飲み利用が多かったことから、熱中症対策として、直接飲めるタイプの給水インフラが重要である。
今後はイベントだけでなく、街中での実証実験も計画している。
海外のRefillとの連携でインターナショナルなアクションも予定しており、2020東京大会をひとつのターゲットとして、関係者と協力して給水スポットづくりを推進する。

 

協力団体:株式会社OSGコーポレーションより

給水のウォーターフロント(玄関口)をめざしてという取り組みを行っている。
ウォータークーラーは人の集まる場所に設置、現在では空港、交通網、公共施設、観光地テーマパーク、スポーツ施設1万7千台を設置している。
特徴として、デザインへのこだわり(他社との差別化)がある。
すべての人が利用できるユニバーサルデザインを導入し車いすでも利用できる、小さな子供も安心安全に利用、マイボトルユーザにも組みやすい様々な商品を提供している。
マイボトルで環境負荷(CO₂削減)の軽減と、バリアフリーで環境負荷をなくすこと。
SDGs実現への取り組みのひとつに折り紙 作成しているウォーターマップを表示して啓発活動を行っている。

 

質疑応答・対談 :藤野純一氏×瀬口亮子(ファシリテーターGEOC星野)

東京2020大会では300万トンのCO2排出大企業の1年分の排出量に相当するがどのように対応するのか?ロンドン大会のときとの比較などの専門的なお話から、無料の水のスポットになぜこだわるのかなど、さまざまな質問が参加者から寄せられた。

最後に、この会のタイトルでもある「2050年の環境・社会・経済」について考えることをそれぞれにお答えいただいた。

藤野氏:日本国内においてSDGsが浸透しはじめているのは良いことだが、気候災害がすでに顕著になっているため、あるべき姿だけでなく、(悪いことも)ありうる姿を考えておかないといけない時代になっている。
日本は災害の多い国なので、ほかの国に比べるとノウハウはある。一方で、最近は日本が世界にどう貢献するかの意欲が減っている印象である。
日本の2050年を考えると、都市に資源が集中し、地方における資源(ひと・もの・かね)が不足していることをしっかり考えながら、地方からもグローバルに出ていけるようにすることが重要である。
瀬口氏:今から10年以上前にも、「今行動しなければ間に合わない」と言っていた。今まだ同じことを言っている自分たちは、この間いったい何をしてきたのだろうと思う。
2008年成立のイギリスの気候変動法は、中長期の目標だけでなく、5年ごとにその時々の政権の責任で削減する「炭素予算」を設定している。日本の現政権も2050年の目標を口にするが、問題は、現政権が何をしてどれだけ減らすか。今まだない技術に希望を託して、対策を先延ばしすれば、将来世代にツケを残すばかりだ。日本にも炭素予算のようなしくみが必要と改めて思う。一方、日本でも地域ではすばらしい取り組みがある。これはもっと世界に向けて発信し、共有していくべきだと思う。

星野:お二方からインパクトのあるコメントをいただいた。
グローバルとローカルをつなげる場としてこのトークセッションを実施してきた。
ここでの出会いを通じて長期的な視点で広げる伝えることをさらに実施したいと思う。

以上