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わたしのまちのSDGs×協働×ESD EPOカフェ②~環境ユースが語る わたしたちの過去・現在・未来の世界~ 報告 2019年3月29日

わたしのまちのSDGs×協働×ESD  EPOカフェについて

EPOカフェとは、持続可能な社会とは何かを考えるため、ひとつのテーマに対して様々な切り口で話題提供をし、参加者も一緒に掘り下げていく、対話の場です。

第一回は、「~地域内外の資源を融合してつくる、わたしのまちの緑地経営~」ということで、都市近郊に残る「緑地」をテーマに開催しました。
第二回は、少し毛色を変えて、これからの社会を共につくっていく世代、いわゆる“ユース世代”に焦点をあてて開催しました。
SDGsは、人間と地球の良い関係を考えていく上で全人類がクリアしなければならない課題のカタログと捉えることもできます。
つまり、「人類の持続可能性」が危ぶまれているという危機感が中心にあるのです。
そうしたこれからの時代を生きていく「わたしたち」が、今までとこれからについて語り合いました。

開催概要

第二回 環境ユースが語る わたしたちの過去・現在・未来の世界

【話題提供者】
松井宏宇氏/がけっぷちの生物多様性キャンペーン実行委員会 創設者
      生物多様性わかものネットワーク 創設者
      公益財団法人 日本自然保護協会

【モデレーター】
江口健介/地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)

【ゲスト】
・比留間美帆氏/日本国際湿地保全連合 主任プログラムオフィサー
・廣瀬翔也氏/Climate Youth Japan 創設者

【今回のテーマ】
・わたしの出発点は
「ユースに世界を変える力があると信じたこと」

・わたしが取組んだことは
ユースの目的と責任を掲げたこと」

・今日みなさんとお話したいことは
私達の活動が世界の“何を”変えるのか」

プログラム

受付12:00~

12:30 趣旨説明(10分)
12:40 導入:江口(20分)
    ・SDGs時代の日本における“ユース”をどう捉えるか
13:00 話題提供:松井氏(20分)
    ・環境分野におけるユースの役割と実践について
13:20 事例紹介 (10分×2名)
    ・比留間氏
    ・廣瀬氏
13:40 感想シェア(15分)
13:55 トークセッション(40分)
14:35 休憩(10分)
14:45 ワークショップ(85分)進行:EPO
16:10 まとめ(20分)
16:30 終了

【参考情報】持続可能な開発目標(SDGs)とは 

企画趣旨

 今回のテーマに関して、EPOとして以下の課題意識を持っています。

  1. 環境に関心のあるユース世代の社会人になってからの活動と継続性
  2. 社会の一員としてのユースの責任と権利について
  3. SDGsとユースの関係性

まず①について、卒業・就職と共に、学生からいわゆる「社会人」となり、生活環境が変わることはもちろん、社会から求められる役割が変わってきます。では、学生時代に積み上げたこの分野の経験は、次の自分のライフステージには連続しないものとして、単なる個人の経験値(思い出)として片付けてしまって良いのでしょうか。

 次に、②について、環境分野に限らず、「ユース」というものは一体何なのかということを、他の誰でもないユースたちが考えるきっかけがあっても良いのではと思いました。そのことを抜きに闇雲に活動をしても、大人に都合よく使われたり、子ども扱いを受けて話を聞いてもらえなかったりと、本来持っているはずの権利を知らないうちに失っていたり、反対に責任を果たせていないかもしれません。

 そして最後に③について、SDGsが表すように、課題山積の人類の未来に対して、私たち一人ひとりの行動変容が求められています。そんな中、ユースというひとつのグループで考えたとき、個人や組織という単位ではなく、もっと大きな文脈の中で、ユース世代を捉えてみる必要があるのではないでしょうか。

これらの課題を共有し、持続可能な社会を構築のために、ユースとして何が出来るのか、何をすべきなのかを考えるべく、学生時代から環境分野の活動をしてきたゲストを迎え、話題提供、事例紹介、トークセッションで課題意識を共有し、対話の時間を設けて深堀りしました。

 

話題提供 

松井宏宇氏/がけっぷちの生物多様性キャンペーン実行委員会 創設者

松井さんから、COP10へのユースの参画を目的とした活動を中心に展開した「がけっぷちの生物多様性キャンペーン」や、その他の学生時代の活動の経験から、ユースが活動をする際に考えておきたいいくつかのポイントを交えて、話題提供がありました。

目的、目標を明確に掲げること
・何のためにやるのかをしっかり掲げることに注力すること
・目的、目標が明確でないと組織の方向性がブレる 

ユースという“ラベル”を効果的に活用する
・ラベル=人に押し付けられるものでもあるし、自分で選ぶものでもある
・ラベルには、「期待」「権利」「義務」など、様々なものが付随している。それを使いこなす意識が重要
・ユースというラベル=誰もが得て、誰もが失うラベル

 ユースというラベルの一番の特色として、「将来を担う、受け継ぐ存在」というものがあると言えます。松井さんの場合は「生物多様性を守る価値を伝える」ためには、「ユースというラベル」の特色を活かすことは有効だと考えたので、ユースのラベルを掲げて活動をした、というストーリーになります。

松井さんの場合、

 ・もともと植物が好きで、勉強をしてきた基盤
 ・G8サミットにユースとして参画して、「学生が行動すれば社会を変えられる!」という実感を得たこと
 ・バングラディシュのユースに、「なぜ先進国の責任でもっと活動しないのか」と怒られた経験

など、いくつかポイントになった経験があったそうです。その中で、生物多様性保全というテーマに出会い、そしてその課題を解決するためにその時自分ができることを選んできた結果が、ユース時代の活動でした。

活動の目的を明確にして活動を組み立て、その活動がどう世の中を変えていけるのかということに向き合い続けることと、ユースとして、また、人としてどういう責任があるのかということを考えることの大切さについて、伝えてくださいました。

事例紹介

次に、事例紹介として、学生時代から環境分野の活動に関わっている二人のゲストから、この分野に携わるきっかけは何だったか・どんなことをしてきたか・“ユース”時代を振り返って・今の自分が考えること、感じることについてお話いただきました。


 

比留間美帆氏/日本国際湿地保全連合 主任プログラムオフィサー

・自然が好き。高校、大学とずっと実習大好き、フィールド大好き。
・この業界に入ったきっかけはメディア(TV番組、映画、書籍)。
 『1秒の世界GLOBAL CHANGE in ONE SECOND』/山本良一,Think the Earth Project/2003
 『不都合な真実』/アル・ゴア/2007 
・世界中で起きていることにおどろき、高校2年、実際に目で見て知りたいと思って、初めて環境保護団体の活動に。「現場の人ってかっこいい、自分も将来そういう人になりたい」と感じた。

・就職のタイミングで自己分析
  ・・・研究者にはなれないけど、今の環境は好き
  ・・・就職して、自然とかけ離れてしまうのはイヤだ
 >>>この世界(環境系NGO)は狭き門。飛び込んでみよう!

ユース時代を振り返って、今感じること

たくさんの情報が身近にあって手に入る時代だけど、その情報を自分の中で整理して、自分はどういう世界にしたいのか、という具体的なイメージを自分の中に持つことが重要。

 


 

廣瀬翔也氏/Climate Youth Japan 創設者

・学生時代は好きなことが勉強できて、自由に発信ができる貴重な時間。可能性は無限大。

・日本のユース活動に関しての問題意識 
 ―国外にもっと発信をすることが求められる
 ―自分の人生をかけて、何をやっていくのかということと向き合う必要がある

・学生活動に関わった根底は、「世界の貧困をなくしたい」という思い。高校生時代にTV番組で見たアフリカの学校に行けない子どもたちがきっかけ。世界には、努力をしたくてもできない子どもたちがいると知って衝撃だった。

・COP15にて、20名弱の学生が集まって政策提言をした。それをきっかけに、COP16へユースを派遣することを目的にして、CYJを創設。グローバルなレベルでのユースの活動を構築した。

・学生活動での経験と企業での経験は本質的には一緒:組織として目的に向かって課題解決をしていく。どこに行っても通じること。

 

ユース時代を振り返って、今感じること
若者は何が出来るのか?何をすべきなのか?
政策を作っていく現場では、多くのステークホルダーがいて、政策決定や交渉というのは相当難しい。その中で、ユースは、「理想を語る存在」。非現実的なことを言う存在も必要。

誰のために、誰と交渉するのか?
国際交渉を見ていて、「一体何のために交渉しているのか?」ということをすごく強く感じた。現場で気候変動の影響を受けている人の声は届いていない気がした。市民社会は、どうそのギャップを埋めることができるか。

トークセッション

話題提供SDGs時代の日本における“ユース”をどう捉えるか」GEOC江口

3人の発表を踏まえて、改めて「ユースとは何か」を深めるにあたって、まずはモデレーターの江口(GEOC)から、少し視点を上げて、社会におけるユースの役割を考えるための話題提供がありました。

►国連におけるユースの位置づけ
2015年に採択された2030アジェンダの中では、ユースは以下の通り位置づけられています。

 SDGsにはこのように位置づけられていますが、そもそも国連の意思決定の仕組みの中で、ユースはその意見を反映すべき「メジャーグループ」の中のひとつとして重要な主体(Children&Youth)とされています。

Noting about us but without us.-私たち抜きに、私たちのことを決めるな。

►日本のユースはどうなのか
電通総研が日本のユース世代を対象※に実施した、「若者まるわかり調査2015」によると、総じて日本の若者は、“多くの若者が「自分たちの世代が中心(主役)となって、リード・牽引していきたい」と思っているのに、「社会の制度は自分たちの働きで変えられる」とは思ってはいない。”という結果に。

  ※関東1都6県、関西2府4県、東海3県の高校生以上の未婚15~29歳男女3,000名にインターネットで調査

►社会の時間軸と個人の時間軸
話題提供、事例紹介から、整理すると、「目的」「責任」「ビジョン」「可能性」などのキーワードがあったと思う。それらを受けて、最後に「時間軸」という視点を提供したい。

これについて、以下2つの時間軸を考えてみたい。

 -社会の時間軸
 -個人の時間軸

社会の時間軸で考えたときには、ユースというのは単純にこの先を生きる時間が他よりも長い存在ということになる。そして、この時間軸と個人としてどう生きて何を目指すかという時間軸は、分けて考えてみるというのが、今回の論点になりうるのではないか。例えば、「目的」というキーワードひとつとっても、「ユースとしての目的」ということと、「個人の目的」ということでは意味合いが違ってくる。

 今日は、こんなフレームの中で意見交換をしたい。


 

江口:ではさっそく、トークセッションに移っていきたいと思います。まずは、「ユースが活動に携わる意味とは?」というところからはじめたいと思います。いかがでしょうか。

松井:社会に対して、「意味」を問う、「意見」を言うこと。意見を言うと、その意見に責任が生まれ、参画するということになると思います。

比留間:今仕事をする中で感じるのは、「ユースのパワー」は大切。大人になるにつれて言い訳が上手になる。ユースは、一緒にやろうという仲間がいる。そのパワーと仲間があると、「自分事」として捉えられるのでは。
廣瀬:二人に賛同。やはり、パワーがある。良くも悪くも突き進む力がある。勢いが他の世代とは違う。リスクを恐れず、まっすぐに突っ込める。

 

江口上の世代と下の世代との関わりと、同世代との関わりの中で何か印象的なことは?

松井:下の世代からは、「どうしてそれができたのか」「次はどうしたら良いのか」と聞かれる。もちろんアドバイスはするが、本来的には周りから求められたことではなく、根本的に自分の問題意識がどこにあるかというところからだと思う。外部に理由を求めるものではないのでは。
同世代から、「あなただからできる」というのは傷つく。自分が特別なのではない。誰にでもやれることはある。どうしたら自分にもできると思ってもらえるのか。それが現役時代にできなかったこと。

廣瀬:全国大学生環境活動コンテスト(以下、ecocon)に出たときに、同世代の参加者にポカンとされた思い出がある。同じ問題意識を持っているはずなのに、異常値として見られる感覚はあった。

比留間:上の世代との関わりについて、彼らの活動のモチベーションは「昔の自然環境を取り戻すこと」。目指すところが明確だが、私たち世代の感覚とはマッチしない。私たちの生まれたときの自然環境は、見た目には今とそう変わらないので、その感覚が分からない。年配の方はシンプルでパワフル。私たちは、そこに萎縮してしまっている世代かもしれない。だからユースが「この分野で生きていこう!」となりにくい。

 

江口:話を聞いていると、皆さんは「問題意識」がはっきりしていると感じる。そこの濃淡が、他と比べて「異常値」と言われるのかもしれないと感じた。

 

江口:かつてのecoconで、松井氏の「楽しいだけが環境活動じゃない」という名言があった。じゃあ、他に何?ということも考えてみたい。モチベーションは色々あると思う。スキルアップ、仲間、キャリア・・・など。

松井:その発言をしたときは参加者からの共感は全く得られなかった(笑)真意としては、主目的は課題解決でしょ、ということ。目的があったほうが絶対楽しい。

廣瀬:スタートアップはテンション上がるが、トーンダウンするときがある。そういう時に、楽しいという要素も大切だったなぁと思う。

比留間:最初は「楽しい」から入ってもいいんじゃないかと思う。そんなに大学入る段階で目的意識持っている人は少ないと思う。何かやりたいということを思う人の受け皿になっている。その中に、目的意識を持っている人がいると、そこに引っ張られていく。

 

江口:では次の質問で、ユースとしてグローバルとローカルをつなぐということについて、いかがでしょう。

松井:テーマによって求められることが違うと思うが、生物多様性分野ではローカルで活動している若者はほとんどいない。これが課題だと思っている。

比留間:湿地関係も、ローカルの若者はいない。上の世代が強い。グローバルに動くユースは、ユースラムサールジャパンがある。小学校のころは子ども向けに機会があるが、中・高・大学ではそういう機会がないので、自分たちで作った。国際会議で宣言をしたり、活躍している。これから、この動きをどう周りがサポートしていくかということが重要になってくる。

廣瀬:グローバルの現場には、専門性をいかに効果を持って伝えるか?政策決定には、被害者の声が反映されていない。ユースとしては現場を見て、純粋に問題解決に向けて発信していくが、それが反映されるためには、しっかり勉強しないといけない。ワーキンググループが立ち上がっていると聞いてうれしい。

 

江口:続いて、いつまでユースの活動をしたいか、もしくは、もうしていないのか、「ユースの活動いつまで?」ということについて、伺いたい。

松井:もう自分はユースのラベルを効果的に使えなくなっている。今はユースの活動をどう支援するかということに関心がある。

比留間:組織の中ではいつまで経っても一番若いという現状。でも、それならユースラムサールジャパンに入って活動するか?というと、違うなと感じる。それは年齢的なこともあるが、これまでの経験がある。この視点を持って、ユースをサポートする立場になってくるのかなと思う。年齢×経験というのがユースを名乗るかどうかを判断する基準になるのではないかと思う。

廣瀬:今は、現役の悩みを聞く立場。そして、こういう場でもし共有できることがあるなら、自分たちの活動のことを伝えて行きたいと思っている。ユースの重要なポイントは「勢い」。社会人になってくると頭が凝り固まってくる。ピュアな発信力が必要。

 

江口:最後に、冒頭の自己紹介のときに質問として「活動の量と質について」ということがあった。この質問の意図の説明と、それぞれコメントをお願いします。

質問者(大学4年生):僕もそろそろ活動的には「脱ユース」をしていくと思うが、社会人になってどう脱ユースをしていったかと、社会人になっての活動量はどうかということを知りたい。

松井:社会人になる一ヶ月前に団体を立ち上げたので社会人しながらユース活動をしていた。結構しんどかった。どれくらいの質と量か、ということに関しては、定時で切り上げられる会社と残業の多い会社とで違う。学生と社会人の違いは、社会人は学生ほど1年の変化が激しくなく、長期スパンで考えて、無理のないバランスを考えるようになる。絶対的な時間数は減る。社会人になって身につけたことも含めて、質でカバーするように心がけている。脱ユースに関しては、いつまでそのラベルが効果的に使えるか、ということだと思う。

廣瀬:自分は卒業と同時に活動からは引退した。純粋に社会人としての生活が忙しく、無理しないとできなかった。また、代表も交代したし、次の世代に継いだほうが良いという頭もあった。そもそも学生から社会人という環境の変化は大きいので、自分がどうしたいかを考えつつ、様子見ても良いと思う。

比留間:今の仕事の中で意識が変わった気がする。「自分の興味があるものを見に行く」というところから、自分でプロジェクトをまわすようになって、それが自己満足だったと気が付く。経験から得られる広い視点、感覚の変化が社会人の中で得られるものだと思う。その時その時でやりたいこと、できることで決めていくので良いと思う。

対話の記録

話題提供、事例紹介、トークセッションを経て、今日全体で深堀りしたい「問い」を整理。以下の3つについて、ワールドカフェスタイルのワークショップを実施しました。

①「自分の軸がブレる」とは?

  -どんなブレ方があるか?
  -どう修正したか?
  -軸はそもそも何か?

②ユースはどんなサポートがあるとうれしいか?

  -人・仕組み・場
  -ユースに対してどんなサポートが考えられるか?

③“ユース”ラベルの強みは何か?それを活かすには?



①「自分の軸がブレる」とは?

・そもそも「自分の軸」とはなにか?
 ポストユース世代;人生観、キャリア的なイメージ
 現役ユース世代;学生活動のイメージ

・自分の軸=キャリア、人生観の話と学生活動の話を分けて考えるべきかも?

・学生時代に活動に参加する理由は大体以下。
 ―目的に賛同
 ―手段に賛同
 ―仲間への共感
 ・・・これがズレたりすると活動への興味を失う

・学生活動のズレは、自分の人生の目的とのズレに気付いた、ということ。
・「ブレる」という言葉はネガティブだが、「新しい視点を探す」、新しいフェイズへと捉えることもできる。

 

②ユースはどんなサポートがあるとうれしいか?

・資金、スキル、コネ、場…いろいろ欲しい
・創設した人たちは、資金集めとかいろいろと苦労して、責任感を持ってがんばっていくけど、だんだんそのサポートが当たり前になっていくのは良くない。

・しかし、「サポート」という言葉が、一方通行。
・それは本当に対等なパートナーシップか?

問いの変更;②ユースとどうパートナーシップが組めるか?

・企業側も、資金を出すということだけでユースとパートナーシップを組んでいるという気になり、関係性がなあなあに。
・資金を出す側も、もっと期待についてはっきりオーダーすべきではないか。
 支援側:どんなインパクトを出せたのかを問う
 学生側:失敗要因、成功要因の分析力、PDCAをまわすスキルを身につける

・ユースは新陳代謝が良いという特徴があるので、長期スパンの組織作りではなく、プロジェクト単位で仕組みを考えたほうが良いかもしれない。

 

③“ユース”ラベルの強みは何か?それを活かすには?

・強みと弱みは表裏一体。

 

 ※社会に出たからといって、全員が得るものでもないのでは?
 ※※そもそも継続する必要ってある?

・ユースという“ラベル”の価値は、「将来の担い手」ということ。
「将来の担い手」×「強み」で、ユースの活動は活発になってくる。

 

総括

今回のEPOカフェは、「ユース」に参加者を限定して実施しました。環境パートナーシップを促進する立場として、当事者の声を聞く場は重要だと考え、ごく一部のオブザーバー以外は、現在何らかの形でユースとして活動をしている方のみで、じっくり議論しました。

社会の時間軸で考えるユース

 登壇者の3名それぞれの事例を聞くと、皆さんそれぞれ明確に「解決したい社会の課題」のイメージ、ビジョンを持っていることが特徴でした。

松井さんの言葉を借りると、「目的・目標意識を明確に」という問題提起、比留間さんの言葉を借りると、「どういう世界にしたいのか、具体的なイメージをもつ」ということ、そして廣瀬さんの文脈では、ユースとして何をすべきなのか、そしてその活動は誰のための何なのかを問い続けていくことにつながります。

目標に向かって、「ユース」を「ラベル」として捉え、そのラベルの「将来を担う存在」という特色を活用して行動を起こすことが、多くの仲間の共感を呼び、社会に一石を投じる活動になり、今の自分の土台となっていると言えるでしょう。まずは自分たちがどういう時代に生まれ、どういう世界に生きているのかを知り、社会の要請を知って、考えることからなのかもしれません。

個人の時間軸と向き合う

 社会の時間軸を意識した上で、次に考えたいのは個人の時間軸です。トークの中で、「いつまでユースとしての活動をするのか?」というテーマがありましたが、これはまさしく、社会の時間軸の中での自分のあり方を考えるということ。その、ひとつの基準として、比留間さんがお話した「年齢」×「経験」ということがあるかもしれません。

社会に出ると、否応なしに「経験」の質と量が変わってきます。その良し悪しについては、対話タイムの②のテーブルで話し合われました。ユースの活動という文脈から考えたら、「思考が凝り固まる」「時間的に余裕がなくなる」など、デメリットの方が多くあったようでしたが、社会の時間軸とあわせて考えたときには、もっと別の役割が要請される段階に到達したとも言えます。見える世界が変わることで、望む未来とそのギャップも、より鮮明になってくるのではないでしょうか。


 ①のテーブルでは、「軸」という議論で「自分の人生、キャリア」としての「軸」なのか、「学生活動」の「軸」なのか、という議論がありましたが、社会の時間軸と自分の時間軸ということで捉えてみると、整理できる気がしました。

 

「楽しい」ということについて

 

 最後に、ユース時代の松井さんの問題提起「楽しいだけが環境活動じゃない!」に対する、江口の「じゃあ何?」という問いかけについて、大切なポイントだと感じたので触れておきたいと思います。

 

創設メンバーが離れてしまったり、活動がマンネリ化したり、必ず活動がトーンダウンする時がやってきて、そういう時に「楽しい」という要素も必要だったという廣瀬さんのお話や、「楽しい」が入り口でも、しっかり目的意識を持って活動する先輩の背中を見て変わっていけたら良いのではないかという比留間さんのお話がありました。どれもその通りですが、では、もうひとつ掘り下げて、「楽しい」とはどういうことでしょうか。これは、参加者(オブザーバー)からのコメントですが、とても印象深い問いかけです。

イベントをやって、仲間を作って、みんなで騒いで…ということも確かに“楽しい”でしょう。しかし、それは、あくまでも手段です。ユースという期間限定のラベルの効力を遺憾なく発揮し、社会と未来に影響を与えるという目的に向かうことが、本来の“楽しさ”なのではないでしょうか。

EPOとしてユース世代とどんなパートナーシップが組めるのかということを考えつつ企画した今回でしたが、たくさんのヒントを得ることができました。社会の時間軸、個人の時間軸、そして本来の楽しさについて考える場を今後も設けて、ユースの活動の好循環を支援できたらと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

(文責;関東EPO高橋)

 

 

登壇者感想

後日、登壇者の方々から今回のEPOカフェの感想をいただきました。

〇松井宏宇氏

残念ながら、環境ユース同士もですが、ユースとユースより少し上の世代と交流できるプラットフォームとなれる場や組織が減ってきています。

こうした中、今回のEPOカフェは、講師とユース、ユース同士、互いの活動を振り返り、考え方を共有できるじっくりとした話し合いができ、互いによい刺激ができた場であったよう感じています。

 

〇比留間美帆氏

参加者や同世代の登壇者との対話を通して、環境・所属(学生・会社員・NGO職員など)によって環境問題との関わり方が変化すること、≪ユース≫の価値について深く理解することができました。

これからの社会・環境問題解決のためには、将来の担い手であるユースがユースの強み(アイディア・行動力など)を活かし、≪脱・ユース世代≫がユースの弱みを補い、共に進んでいくことが重要だと感じました。

 

〇廣瀬翔也氏

普段忙しく勉強・活動している学生・ユースにとって、普段いるコミュニティから外に出て自分の活動や進路を振り返るのは大切な時間だと改めて感じました。

普段自分が疑問に感じている事、深めたい問題意識、活動で直面する悩みなど、言葉にする事で頭の整理になったり、周りの意見を聞く事でそうしたもやもやがクリアになる事は誰でも経験した事があるかと思いますが、EPOカフェはまさにそんな時間を提供してくれる場だと思いました。

 

○江口健介

自らのユースとしての活動を振り返りつつ、環境分野における中間支援の仕事を世代問わず行っている今の立場で、何が出来るかを考える時間になりました。

ユースを卒業した世代が「ユースに期待する」と発言する時に、お仕着せではなくするためにはどうしたらよいか、またユースの側もファッション的にユースを名乗るだけではなく、社会の中でどのように権利を主張すべきか、など継続的に議論していきたいと思います。