「平成27 年度関東ブロック中間支援組織交流会」を開催しました 2016年3月1日

 関東EPO ではこれまで、関東地方の1 都9 県の中間支援組織の方にご参集いただき、環境・協働活動の状況把握、中間支援組織との意見交換を行って参りました。 今年度は、東日本大震災を経験した東北EPO の協力により、東日本大震災の復興において東北地方の中間支援組織が担った役割や成果等を共有し、平常時と非常時の中間支援組織の役割について考え、今後の活動を展開していくきっかけとなることを目的として開催しました。

開催概要

〇開催日時:平成28年1月18日(月)13:30~17:30
〇会 場:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
〇主 催:環境省関東地方環境事務所
    関東地方環境パートナーシップオフィス(関東EPO)
〇協 力:東北環境パートナーシップオフィス(EPO 東北)
〇対 象:1 都9 県の中間支援組織(オブザーバー参加:自治体)

プログラムおよび内容

★東日本大震災のふりかえり
東日本大震災が改めてどのような災害であったのか、震災のビデオなども通じて全体で共有した。(EPO東北)

★東日本大震災における中間支援組織取組事例紹介
東北3県の中間支援組織より、東日本大震災発生時の対応についてお話を頂いた。

① 大久保朝江氏NPO 法人 杜の伝言板ゆるる:宮城県)

発表資料(PDF:1.3M)

○活動概要
今日出席の団体としては、被災県となる。「杜の伝言板ゆるる」は分野を問わずにNPOを支援する中間支援組織で、情報発信を主軸としている。  「月刊 杜の伝言板ゆるる」97年6月に創刊し、NPOの情報を市民向けにペーパーベースで発行してきた。2001年からはみやぎのNPO支援webサイトの運営を受託し、情報発信をしている。あくまでも情報の提供はきっかけづくり。踏み出す機会を与え、NPO理解を進めるために、高校生向けのプログラムも14年間実施している。
 この他に、NPOの基盤整備の支援事業も実施しており、特に会計サポートには力を入れており、企業の会計経験者をNPO法人会計基準に順じて指導するための育成をしている。また地域で中間支援組織を立ち上げる支援もしており、これまでに登米市と名取市でNPO支援組織の設立をサポートしている。

○震災後の対応
 宮城県では1万800人ほどが亡くなっており、特に石巻市が大きなダメージを受けた。震災後は、3月15日に当法人スタッフを全員召集し、対応を協議した。当時は、県外からのNGOがたくさん現地入りしていた状況だったことから、当法人はNPO支援に軸足を置いて行動した。しかし現地に行く燃料、物資等も足りなかったため、お付合いがあったNPOに連絡を取り、現状調査した。その時もう既に県内37団体が支援活動をしていた。
 マスコミは県外からの団体活動に注目して伝えているが、「地元のNPOの活動を発信しなければ、あの時何をしていたのだ」となってしまう。そこで県内NPOの活動を発信するブログを立ち上げた。月刊情報誌で情復興支援活動をしている県内NPOの活動を発信し、3年後、「3.11 あの時宮城のNPOはどう動いたか」という冊子で発刊した。私たちはNPO支援組織なので、被災した NPOと支援しているNPOの支援を行った。過ぎてみれば、県外から来たNPO/NGOとの連携ができなかったこと、県内の中間支援組織との一本化が図れなかったことに悔いが残っています。

② 畠山順子氏NPO 法人 あきたパートナーシップ:秋田県)

発表資料(PDF:1.4M)

○活動概要
平成14年に設立し、主な事業としては、県の施設である秋田県ゆとり生活創造センター『遊学舎』(あきた中央市民活動サポートセンター)の指定管理を受託して10年になる。市民が自由に利用するスペースがあり、利用者の7割ほどが高齢者。他の団体への貸しスペースがあり、シニア向けの健康塾、NPO向けの会計講座、雪害シンポ等を実施している。

○震災後の対応
震災当日は120名くらい利用中で、避難訓練のとおりに動くよう指示した。場所が広く高齢者が多い等、懸念事項も多かった。やがて電話も遮断され、停電になりパニック状態になった。予備電源、平屋、周囲が田園など施設への被害は少なかったが、物資や備蓄がなかった。元々避難所の機能があり、危機管理システムでみんなが動けたが、困ったのは、高齢者がバス利用でどうやって自宅まで帰るか、高校生の親との連絡、見送りも大事だった。
 震災後に中間支援組織としてどう活動するか、悩んだ。気仙沼とつながりがあるNPOが、水をタンクローリーで運ぶというときに、震災後2週間ぐらいで同行した。4月になって、できることがないか?といろいろ問い合わせがきた。それに対しての対応。一番声が出たのは、学生。学生の力を待っているところもあったので、ヘドロの掻き出しやゴミ拾い等を行った。東日本大震災避難者支援事業を開始。健康塾、保健師OBとが一緒に避難者の家を巡回し、お話を聞くなどを行った。ふるさと福島帰還支援事業:秋田で暮らす人を、どうふるさとに返すか。秋田に移住した高齢者のニーズにあった支援。お出かけ支援、傾聴ボラ。現状、1,028人いた避難者は845人になった。秋田に永住する人もおり空き家の紹介もしている。地震発生から4ヶ月間、密に活動し、そのときに繋がった人と継続して繋がっている。思いが継続しており、今、秋田県内で3センターあり、中間支援組織が情報共有しながら、支援を続けている。5年経ち、避難者の自立促進という話もあるが、支援はまだまだ必要な状況であり、避難者という言葉がなくなるまで支援したい。

③ 齋藤和人氏NPO 法人 山形の公益活動を応援する会アミル:山形県)
発表資料(PDF:1.7M)
○活動概要
山形市の市民活動支援センターの指定管理業務、及び県内NPO活動支援。震災後は官民協働で「復興ボランティア支援センターやまがた」を運営中。中間支援組織として、NPOの基盤強化、企業の連携、協働などの活動を実施し設立10年目。活動エリアは県内全域を対象に広域に実施している。

○震災後の対応
山形は直接被災したわけではないので、ある意味今日の参加者と近い。揺れはあったが、建物倒壊などが直接的な原因で亡くなった人はいなかった。団体として大きな災害は経験しておらず、中間支援がどう動けばいいか、ノウハウはなかったので、山形県の災害ボランティア支援本部に顔を出したのが初動。災害ボランティア支援本部の中に行政、JC、NPO などが集まって、情報交換して活動を探っていた。山形の直接的被害は大きくなかったが、物資も少ない中、支援体制として県としては責任ある活動を模索しつつ、何かしたいけどできない、などの重苦しさがあった。中間支援は色々なところの今困っている人の支援ができない、というジレンマがあった。 NPOとしてネットワークを作っていかなければ、NPOだからこそできる何か、動きがあるのでは、と思った。地域ごとだったり、テーマだったり、いろいろ なつながりを使っていくことが一番力になるのではないかと感じ、「つながろう、支えあおう、復興支援プロジェクト山形」を、山形県のNPO担当・NPO で、新しい公共事業で立ち上げた。タイミングとしてはゴールデンウィークが終わって、ボランティアの急減、避難者の孤立が課題になっていた時。秋田も同じ 状況だったので、情報交換等を行っていた。山形の特徴としては、福島と隣接することから、福島からの原発事故に伴う避難者が圧倒的に多く、特に重要だと思った情報支援を実施した。「復興ボランティア支援センターやまがた」を設置し、情報受発信を行った。大学生を中心に被災地へボランティアへ行きたい要望があり、ボランティアバス運行も手伝った。民間だけで動いた方がスピーディーだと思うが、 災害ということになると、官民協働で実施することが重要だと思った。現在、3,500名の避難者がおり、うち3,200名が福島から。関東や関西に徐々に移動している。今思いおこすと、地理的なことも活かした支援ができた。支援者の情報交換の場も設けている。社会問題解決には、いろいろなセクターと繋がる ことが大切。実働部隊だけでは解決できないので、コーディネートを行う中間支援組織の活動が大切で、普段から顔の見える関係性を作ることが大切。

 (休憩)

★ディスカッションプログラム

進行:松原裕樹氏NPO法人ひろしまNPOセンター
民設民営の中間支援組織として20年近くになる団体。以前はEPOちゅうごくの運営を行っており、震災の際の再生可能エネルギーの有用性についての意見交換を実施した。その企画が好評であり、翌年に中間支援組織の集まる、今回のような会議を実施した。その直後に広島の豪雨災害が発生し、その時のネットワークの力になり、それを踏まえて今回関東で実施する運びとなった。東日本大震災の経験から、平常時と非常時における中間支援組織の役割を考えることが今日の狙い。お互いから学び、未来志向でやりたい。

 

セッション1「自己紹介・前半の気づき共有」
参加する中間支援組織の方より団体と事例の紹介をするとともに、前半のプレゼンの感想を発言していただいた。防災に関する各団体の取組や交流会前半の学び(新たな発見や気づき、心に残ったこと、気になるキーワード)をシェアした。(1団体1分程度)

全体の紹介に先立ち、昨年9月に豪雨被害を受けた茨城県常総市でボランティアセンターを運営された茨城 NPOセンター・コモンズの大野さんには、現在の状況について、詳しくお話を伺った。
「まだまだ大変な状況ではあるが、コモンズでも常総市内に事務所を持っており、外国人が多い地域なので災害情報を英語、中国語、ポルトガル語などに翻訳して配布した。また外部からのボランティア団体のコーディネートを実施した。」

このほか、各都県の中間支援団体より、通常行っている活動の紹介と、前半の東北の体験についての感想を伺った。

○参加団体(悪天候で参加できなかった団体の方を含む)
茨城 認定特定非営利活動法人茨城 NPOセンター・コモンズ
一般社団法人茨城県環境管理協会
栃木 とちぎ協働デザインリーグ
特定非営利活動法人トチギ環境未来基地
群馬 特定非営利活動法人地球温暖化防止ぐんま県⺠会議
群馬NPO協議会
埼玉 認定特定非営利活動法人環境ネットワーク埼玉
特定非営利活動法人さいたまNPOセンター
千葉 特定非営利活動法人NPO支援センターちば
環境パートナーシップちば
東京 社会福祉法人東京都社会福祉協議会東京ボランティア・市⺠活動センター
公益財団法人 特別区協議会
神奈川 かながわ県⺠活動サポートセンター
認定特定非営利活動法人藤沢市市⺠活動推進連絡会
特定非営利活動法人アクト川崎
新潟 認定特定非営利活動法人 新潟 NPO 協会
特定非営利活動法人市⺠協働ネットワーク⻑岡
山梨 公益財団法人キープ協会
特定非営利活動法人山梨県ボランティア協会
静岡 特定非営利活動法人アースライフネットワーク

 

セッション2「Q&A・意見交換」

非常時に予測される役割から現状を見直し、平常時にどんな取組が必要かを考えるため、グループワークを行った。

(1)グループづくり

 セッション1で出た気づき(キーワード)を基に、関心の高いテーマに沿って、「情報」、「災害時の支援(内容、対象)」、「平常時と非常時のつながり」の3つのグループに分け、席を移動し新たなグループを作った。各テーマに合わせて、ゲストにあわせ東北の団体の方にもグループに入って頂いた。

(2)Q&A・意見交換

上記3つのグループにおいて、それぞれ3つのテーマでディスカッションを行い、以下のような意見が寄せられた。主な意見としては、下記の通り。

 

グループ1
(情報)

グループ2
(災害時の支援)

グループ3
(平常時と非常時のつながり)

お題1:
非常時の中間支援組織の役割

●日頃それぞれに関係性をつくっていること

●正確な情報の入手⇒整理⇒発信

●被災者、団体 足りないこと 困っていることをまず見える化

●情報は正確性、迅速性、一元性が大事

  • 社協とのコラボ
  • ニーズの可視化
  • 制約条件の打破
  • 外部組織との連絡
  • 行政機能のレジリエンス
  • 情報収集
    発信
  • 場づくり
  • 多様な主体との連携促進
お題2:
平常時にできること、東北地方と関東地方で連携できること
  • マニュアル(ルール)の作成
  • 広報ガイドラインの作成・周知
  • 情報の発信・啓発など
  • 人、キーパーソンとつながる
  • 発信をチェック(facebook、twitter、ブログ)
  • (災害を想定した)連絡訓練、リスト作り
  • 人や団体との関係づくり、同分野の助けあい
  • 小さな単位の担当者と大きな単位の担当者のつながり
  • 関係づくり
    • 行政との信頼関係づくり
      ⇒情報整理
  • 人材育成
  • 学びの共有
  • 組織のレベルアップ
  • 忘れないような呼びかけイベントなど

広域的なつながり、地域を越えた応援体制(社協に沿う)

  • 仕組み
  • 顔の見える関係づくり、普段からのつながり
  • 自助努力項目
お題3:
今後に向けた課題
  • 多分野のNPOの災害時の役割分担は難しいが、必要
  • 行政、災害ボラセン、社協のつながり方
  • 情報の共有化
  • 啓発
  • スキルアップ
  • 財源
  • 保険の見直し
  • 役割をまとめるのはどこか
  • 東北、福島、常総もまだまだと、メディアとつながって発信
  • どこを支援するのか
    →あらかじめ考えておく
  • どうハンドリングしていくか
  • リーダーシップ
  • ふだんから地域で!広域で!つながりをつくる!
  • 自分たちに出来る事を整理しておく
  • 市民の声を吸い上げるきっかけ作りを形成
  • 横割り(横串)の役割整理

 

セッション3「まとめ・ふりかえりとわかちあい」

一言メッセージを記入していただき、グループの中で共有した。
主な意見としては、下記の通り。
普段からのつながり:日頃から分野、セクター、地域をまたぐネットワーク・つながりを常に対話しながら続けるが重要
中間支援組織の役割:中間支援とは、団体間のつなぎ役。できるコト、求められているコトに応える
普段の活動:準備が大事、めげない。足元のできることをひとつずつ増やす

■東北のゲストの方からの一言

大久保: 災害にあって初めて、自分たちが大変だと気づく。まさか、というような事が起きる。こうした会を持ち、忘れないようにしたい。
畠山: 災害があって欲しくはないが、何かあった時は、こうしたつながりを元に、助け合えるようにしたい。
斉藤: 体験したことが異なれば関り方も違う。災害が起きれば、考えている余裕もなく動かなくてはいけない。そのときに、普段からの繋がり生きてくる。

 

閉会