セカN(世界を変える偉大なNPOの条件)を読んで

こんにちは☆
最近、『世界を変える偉大なNPOの条件』ダイヤモンド社 を読んでみました。

インパクトあるタイトルですネ。

本のタイトルにある“偉大な”NPO・・・の意味は、決して、巨大NGOとかマーケティングに長けてお金を稼ぐのが上手い企業みたいなNPOではなく、表紙英語タイトルにもありますが、社会へのhigh-impact(影響力が高い)がある団体だということです。

社会への影響力を養うには、一言で言うとテコの原理を使えということ。つまり、小さな力(組織)でも、外部リソースを利用して、組織を超えた連携(パートナーシップ)を行えれば、大きな成果を生めるのだという。

小さいNPOって言ってもねぇ・・・。アメリカとは”小さい”の規模が違う。寄付文化もないし・・・。本の舞台のアメリカの事情をそのまま日本に置き換えるのはどうなのという異論もあるかも? 私も読み始めた当初はそう思っていました。

でも、意外にも日本のNPOと共通する課題があったり、NPO活動に関わる以上、そこは努力しなきゃいけないんだろ~な・・・という大事な問題提起をしていました。特に、管理が難しく、支援者離れのリスクがあるアドボカシー力や、NPO間の横連携(人、モノなど団体の資源を外に出すのはなかなか組織内の理解が得られにくく進みにくい)は醸成することは日米問わずの課題のようです。

確かなことは、(言うは易しは重々承知で言えば)

NPOを運営するのに思いだけではだめ・・・とはよく言うけれど、気持ちが疲弊し、社会的ミッションを果たせなくなるほど団体の基盤強化に力を入れなければならないとしたら本末転倒。外のリソースを活用しながら省力化し、一番大切な思いや熱意を大事にできるくらいの規模で事業を行うこと、

そして、
NPOとして活動する宿命として、自らの組織の存続に力を注ぐ以上に、社会を変革していこうというミッションにはこだわりつづけないといけない、ということなのでしょう。

あるNPOの方のお話に、

 企業に国から助成を受ければ「御用NPO」と言われ、
 企業から助成を受ければ「癒着だ」と言われ、
 市民から寄付を募れば「間接経費・事務費に使うな」と言われ、
 自腹を切れば「金持ちの道楽」と言われ、
 少ないカネで必死に成果を出せば、「ほらカネがなくても大丈夫」

と言われるのだと嘆く話を聞きましたが、なるほど・・・。

NPOに対する理解が進んでいない部分もあり、安い労働力だと考える人も残念ながらいます。それはそれで問題だと同意しつつ、 同時に、次の問いを投げかけてみたいと思います。

皆さんがやっていることは、
団体がやりたいことですか?
それとも、
地域が、社会が求めていることですか?

果たして、どのくらいの団体が胸を張って後者だと言える自信があるでしょうか。もし”あの団体は社会が求めていることをしている”という認識が広まっていれば、上記のようなことを言われるとはどうしても思えないのです。・・・と言いながら、そこをサポートしていくことこそ中間支援組織である私たちのミッションでもあるのですが。。

本の引用で、アショカ財団の創設者ビル・ドレイトンという方が

社会起業家は、
人に魚を与えるだけでは満足しない、釣り方を教えるのも満足しない、漁業全体をかえていくこと

と言っているのですが、なるほどなぁと。
釣り方を教えるのも満足しない・・・まではよく聞きます。でも、“偉大な”NPOはその先の漁業全体まで変えていこうという明確なゴールがあるんですね。なかなかそこまで社会変革まで踏み込もうとする団体は、少ないかもしれません。でも、できるかできないかは別に、社会セクターにいる私たちは少なくともそうした思考を働かせないといけないようです。

前置きが長くなりましたが、本で取り上げた“偉大な”NPO、そして社会セクターで優れていると評される組織が実践している原則として、以下の6つがあるのだそうです。

①政策アドボカシーとサービスを提供する。
②市場の力を利用する。
③熱烈な支持者を育てる。
④NPOのネットワークを育てる。
⑤環境に適応する技術を身につける
⑥権限を分担する。

各章のエッセンスは各章の最後に箇条書きで記してあるので、そこを読むだけでも十分に理解できますよ。NPO運営に関わられている方はぜひぜひ読んでみてください。

s.shirai