[国内事例67] 都市・農村・企業・行政で取り組む「教育を中心に据えた持続可能な地域づくり」~長野県泰阜村 2012年3月22日

概要

「地域に根ざし、暮らしから学ぶ」という理念を掲げ、自然環境を活用した自然体験教育活動を推進。青少年が「心の豊かさ」や「生きる力」を育むための、森・川をフィールドとした多彩や自然体験プログラムを実施している。
貫いたのは「教育を中心にすえた持続可能な地域づくり」。教育を通した都市山村の交流を事業の柱とし、交流人口は実数で年間2000人を超えている。

村の農家さん


3泊から20泊程度の「山賊キャンプ」では、村内農家に契約栽培をお願いし、朝収穫された新鮮な野菜を提供するプログラムを組んだ。評判が非常に高く、子どもにお礼を言われたことがきっかけで無農薬あるいは有機機栽培に移行する農家も現れた。「山賊キャンプ」で泰阜村に魅力を感じた子どもは、1年間の山村留学「暮らしの学校だいだらぼっち」にチャレンジする。いずれの活動でも、地元の間伐材を薪として使用している。このように、事業には「燃料」と「食料」、そして「お互い様」を循環させる内容を盛り込むことを重視している。

グリーンウッドの活動は、村内で失われつつあった循環型の生活様式を地域住民に再認識させる上でのきっかけとして大きな役割を果たした。はじめは「自分たちの村には何もない」と言っていた村民たちであったが、いまでは村民有志がグリーンツーリズムをすすめるNPOを立ちあげて民宿を運営しはじめるなど、地域の人たち自らの活動も生まれつつある。村の子どもの週末体験活動も村民自らの手によって組織化されはじめている。地域住民や行政が協働して放棄された田畑や里山林を復活させ、環境保全型の農業も推進されるようになった。そういった取り組みを魅力に感じたからか、村内外から若い夫婦が移住してくるような動きも見られるようになっている。

こどもたちの田植え

パートナーシップのポイント

村の養蚕家さん

 はじめは村人からよそもの扱いされ、怪訝な目でみられていたところからのスタート。村の人たちとのつながりを構築するために多くの時間を費やした。

 

 プログラム運営には「困ったときはお互い様。みんなで解決する」という村の寄り合いの風習をそのままいかして子ども主導型のスタイルを取り入れるなど、地域の人たちが関わりやすい雰囲気を作った。

 パッケージプログラムではなく、地域に根ざした体験を子どもに提供することにこだわりをもち、活動のあらゆる部分に、泰阜村の魅力、地域の力、そして教育力を活かすことを心がけた。このことにより「なにもない」村の境遇を嘆き、この村が持つ教育力を否定的にとらえてきた村民が、都市部の子どもたちから村の価値をもう一度教えられることにつながった。

カテゴリ

様々な主体間の連携・協力関係によるもの

テーマ

持続可能な地域づくり・循環型社会の構築

主体とパートナー

□主体
 NPO法人 グリーンウッド自然体験教育センター
□パートナー
 長野県下伊那郡泰阜村の地域住民、全国の自然学校のネットワークなど

参考サイト

□ つな環17号 無いことの豊かさ ~ど真ん中に「教育」を据えた持続可能な地域づくり~にて紹介