イベント・セミナー

回復する自然と育つコミュニティ:みんなで創る都市里山と未来のビジョン

全国

2026年6月23日(火) 14時~16時15分(開場13時半)

2050年ビジョンとして掲げられた「自然と共生する社会」の実現に向け、国際的にも国内的にも生物多様性の保全と回復の取り組みが加速しています。とりわけ、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)が示す30by30目標は、保護地域やOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)の拡大を通じて、生物多様性保全の“量“(=生物多様性の保全が図られている土地)を確保する政策の柱として位置づけられています。一方で、都市部には無植生地や劣化地など、既存の保全枠組では十分に扱われてこなかった領域が広く存在します。これらの場所は、生態系や生物多様性の回復(restoration / recovery)によって自然環境の質を高めるだけでなく、子どもの自然体験、健康、コミュニティ形成、学びや癒しの場など、人々の暮らしやウェルビーイングの向上に寄与する潜在力を有しています。しかし、「回復緑地の質」や「人への価値」を体系的に評価し、環境公平性の課題の克服をも加味して政策的に位置づける仕組みは、現行制度において十分に整備されていません。

この政策的空白を補うため、IGES国際生態学センターは、都市に新しく創られる里山(都市里山 Urban Satoyama)の現場を起点とする新たな学術拠点の創設を構想しています。その中核となるのが、市民・行政・企業・研究者など多様な担い手が対等に知を持ち寄り、実践と結びつける「協働科学(Collaborative Science)」のアプローチです。これは、30by30の“量”に加えて、“質”と“ウェルビーイング”を積極的に追求する「30by30 plus」(仮称)の概念を市民、行政、企業、研究者など多様な主体が協働して提唱し、社会実装へとつなげていく試みでもあります。

本シンポジウムでは、構想立案者による講演を皮切りに、環境省、地方自治体、企業、NPO、学識者など多様な立場の実務者が集い、都市における生態系回復の可能性、協働科学の実践、そしてウェルビーイングを軸とした新たな価値創出について議論します。都市の劣化地を未来の資源へと転換し、次世代が希望を持てる持続可能な社会を実現するための第一歩として、本構想の意義と方向性を広く共有する場にしたいと考えています。

なお、本シンポジウムは2026年7月22日に神戸で開催するISAP2026(https://isap.iges.or.jp/2026/jp/index.html)のプレイベントとして実施します。