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アジア太平洋気候安全保障事業の進展と課題:多様なリスクへの対応策の検討

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IGESが実施するアジア太平洋気候安全保障事業では、気候変動がもたらす多様なリスクのうち、特に安全保障上の課題となるものに重点を置き、検討を深めてきました。

気候変動に関連するリスクとして、台風や洪水の増加・激化、熱波による健康への影響、山火事の増加などが一般的に想定されます。一方、気候変動の安全保障上のリスクは、気候変動が紛争に結びつく可能性や、食料やエネルギーに係る経済安全保障への影響、島嶼国における海面上昇による国家存続の危機などが挙げられ、主に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)ではなく、国連安全保障理事会や国連総会などの場で議論が行われてきました。気候安全保障は、UNFCCCのように制度化された国際的な議論の場を持たないため、各国間の合意形成が十分に進展しておらず、依然として不明確な側面が残っています。

このような状況を踏まえ、IGESでは、気候安全保障の概念と政策領域を効果的に位置付ける方法を検討することを目的として、アジア太平洋地域における気候変動対策の現状と気候安全保障の認識に関する調査・研究を行ってきました。

本セッションでは、食料安全保障、エネルギー安全保障、気候変動による人の移動、気候変動適応策、海洋安全保障といった視点から、これまでの研究成果と課題について報告します。また、IGES研究員および秋元 一峰 笹川平和財団 海洋政策研究所 名誉フェローとのパネルディスカッションを通じ、気候安全保障について知見を深めるとともに、地政学的観点からアジア太平洋地域における今後について考えます。