[国内事例116] 公共交通機関利用促進を目指す ~電車でゴルフ~ 2015年3月1日

概要

IMG_8827S 鉄道はエネルギー効率が高く、同じ重量のものを運ぶのに、鉄道1に対して自家用車は8のエネルギーが必要とも言われる。地球温暖化防止のためには、鉄道の利用は有効だとして国土交通省と鉄道業界との連携で「鉄道でエコ キャンペーン」なども実施されている。
 私鉄大手の東武鉄道は、沿線の16ゴルフ場に呼びかけ、ゴルフ客の鉄道利用を促進するためのキャンペーン「電車でゴルフ」を2010年より開始した。参加資格は「電車で行くこと」ただそれだけ。またこの取り組みをさらに推進するために、2012年よりエコポイントラリーというプレゼントが当たるキャンペーンも実施し、鉄道の利用促進を呼び掛けている。
 この事例は(一社)地球温暖化防止全国ネット等が開催する「低炭素杯2015」の栃木県代表を決める『とちぎのエコキーパーをさがせ!Vol.5』で最優秀賞に選ばれている。

 

経緯

 ゴルフそのものは、平成初頭のバブル景気華やかかりし頃をピークに、その後は徐々に競技人口もゴルフコースも減ってきている。最近ではゴルファーが高齢化し、長距離の車の運転が厳しくなってきたり、若者も車離れで車を持たない人も多くなってきている。ゴルフ場としてはそうした「車を利用しないゴルファー」のニーズを取り込みたいし、鉄道会社としても定期券外の長距離利用者は歓迎したいところだ。そこで東武鉄道が関係者に声掛けし、それをきっかけに「東武沿線ゴルフ場連絡会」が出来た。

 

運営方法

 この取り組みは、各地のゴルフ場が所有する送迎バスなどのインフラを活用しつつ、沿線と都心を結ぶアクセスを担う東武鉄道が、広く首都圏にこの取り組みをPRすることで成立している。ゴルフをしたいと考える参加者に対し、主に下記の点を訴求している。

  • 電車で行ってもゴルフコースの送迎バスがあり、鉄道でも十分にアクセスできること
  • 地元の運送業者などと提携した運送サービスがあり、ゴルフバックの運送も手軽であること
  • 運転しなければ、アルコールを飲める

この取り組みを進めるにあたり、自家用車を使わずとも、気軽にゴルフに行くことが出来る点をアピールしている。さらに「電車でゴルフ」の促進を図るためのキャンペーンとして「エコポイントラリー」を開催している。「電車でゴルフ」の取り組みそのものは、参加登録などは不要だが、ゴルフに行った参加者に対しスタンプカードを発行し、電車でゴルフに行くたびにポイントのスタンプが押され、ポイントに応じてプレゼントが当たるというものだ。年に数回が指定期間となり、これまでに延べ12,000名が参加している。

ポイント

 鉄道利用のメリットは、冒頭にも記したとおり、エネルギー効率が高い点だ。また鉄道の特性として、人が乗っていようがいまいが、決まった時間に運行するため、1列車に対しより多くの人が乗車した方が効率は高まる。東武鉄道としてはゴルフ場以外にも、トレッキングや鬼怒川方面の温泉、世界遺産である日光などの観光地を抱え、ゴルフ場以外の旅行客を対象としたキャンペーンも将来的には実施したいとしている。
 環境負荷の少ない鉄道の利用を促進するためには、鉄道を利用する際の障害を取り除き、利用者の目線に立った利便性を追求する事が重要だ。関係者の今後の取り組みに期待したい。

カテゴリ

■事業協力・事業協定 ■実行委員会・協議会

 

テーマ

■温暖化防止・エネルギー ■ライフスタイル 

 

関係者(主体とパートナー)

2015年3月