概要
戦後の圃場整備などの影響により、失われた琵琶湖周辺の田んぼの豊かな水田環境を取り戻すため、滋賀県では平成13年度に「魚のゆりかご水田プロジェクト」を立ち上げ、県内の試験機関と共同で水田の繁殖効果などを検証。平成18年から、全国に先駆けて「環境直接支払」を採用し、農家の掛かり増し経費を助成した。その後、農水省の「農地・水保全管理支払交付金」を活用し本格的に、排水路に魚道を設置して魚が遡上しやすい環境づくりの仕組みを展開。地域の住民組織らと共に推進しており、現在では、県内32地域、117haで本プロジェクトに取り組んでいる。こうした水田から収穫された「魚のゆりかご水田米」は平成18年に商標登録され、付加価値の高い米として販売されている。
この活動をより持続的かつ安定的な取り組みにするために平成23年5月に「滋賀県魚のゆりかご水田プロジェクト推進協議会」を立ち上げ、地域のさまざまな団体の連携により都市住民へのPR活動などを実施している。
このプロジェクトの特長は、琵琶湖周辺の農家を中心に住民やNPOなど多くの住民らが連携し、水田の生きものに着目した生態系保全の取組や地域の活性化に取り組んでいるところにある。
平成20年度から 「魚のゆりかご水田プロジェクト」に参加している「せせらぎの郷・野洲市須原魚のゆりかご水田協議会」は、その取り組みを地域の活性化につなげるため、魚のゆりかご米の「オーナー制」の導入や、京阪神などの消費者と農業体験や生きもの観察会などで交流を図るなど、地域の特色を活かした幅広い活動を展開している。そういった創意工夫に富んだ取り組みが高く評価され、「平成23年度豊かなむらづくり全国表彰事業」で農林水産大臣賞を受賞した。
パートナーシップのポイント
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琵琶湖とその周辺の水田に、かつての美しい環境を取り戻したいという稲作農家や漁師の強い想いがこのプロジェクト推進の力となっている。 |
カテゴリ
様々な主体間の連携・協力関係によるもの
テーマ
持続可能な地域づくり・生物多様性
主体とパートナー
□主体
滋賀県農政水産部農村振興課にぎわう農村推進室
□パートナー
せせらぎの郷・野洲市須原魚のゆりかご水田協議会