[国内事例69] 地元農家と都市住民・企業・行政との連携で進める阿蘇千年の草原保全活動 2012年3月22日

概要

  (財)阿蘇グリーンストックは、広大な阿蘇の緑の大地を国民共有の生命資産(グリーンストック)と位置づけ、都市と農村、企業・行政四者の連携で護り、後世に引き継いで行くことを目的として平成7年4月設立、2011年4月に公益財団法人として認定された。財団の運営には、阿蘇郡市7ヶ市町村長をはじめ、JA、生協、YMCA、医師会、労働組合、銀行、各種企業など熊本県内の主要企業、団体が関わっている。

主な事業は以下の通り

地元農家と都市住民、企業・行政との連携で進める阿蘇千年の草原保全活動:
 阿蘇の草原は地元入会権者による約175の牧野組合や集落によって維持管理がされているが、畜産農家の減少、農村の高齢化や過疎化により人手不足が課題となっていた。グリーンストックでは1999年、都市住民に野焼き支援ボランティアを呼びかけ、2000年には『野焼き支援ボランティアの会』を発足した。2010年現在では延べ2,000人以上が参加するまでに成長した。今では阿蘇の草原保全にはなくてはならない存在となっている。この野焼き支援ボランティアの活動は、地元農家(共同作業)、企業(さまざまな財政支援や労力提供)、行政(地元牧野組合との連絡調整)と財団及び都市住民との連携、パートナーシップにより続けられてきている。平成22年度からは環境省の委託を受けて、草原性湿地の現況調査と今後の保全計画の策定に取り組んでいる。


阿蘇の水資源を守る活動や都市・農村交流活動:
 阿蘇の草原保全活動以外にも、企業・行政とタイアップした『阿蘇の水資源を守る広葉樹の植林活動』や地元や都市の子どもたちへの環境学習の実施、農業体験・農家民泊などによる都市農村交流活動などを実施している。

特産品販売事業及びあか牛農家への融資事業
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 都市住民と畜産農家が連携し、阿蘇の草原を維持するための活動として阿蘇の草原維持に欠かせない「あか牛」の放牧を増やす「あか牛オーナー制度」を実施している。

その他:
 阿蘇地域の環境保全、草原維持などを行なうためのさまざまな調査・研究、
都市農村交流施設『阿蘇ゆたっと村』での、ボランティアや村民会員及び一般向けの宿泊サービスならびに物品販売、受託調査事業など

パートナーシップのポイント

地元の人が「自分たちでも大変なのに」と考えていた野焼きの作業に、都会の熱心なボランティアが多く参加したことは、地元の牧野組合からも高い評価を受けた。マスコミなどに取り上げられる機会も増え、若い学生や地元の人の参加が増えてきている。また、収益事業も含めたさまざまな事業を展開するなど、多様な主体が参加しやすい仕組みが出来ている。

カテゴリ

様々な主体間の連携・協力関係によるもの

テーマ

持続可能な地域づくり・循環型社会の構築・生物多様性

主体とパートナー

□主体
 公益財団法人阿蘇グリーンストック
□パートナー
 賛助企業・団体、行政・自治体、環境団体など多数

参考サイト

□ つな環16号「都市と農村、企業、行政四者の連携で取り組む阿蘇の環境保全と地域振興」にて紹介