「環境保全活動・環境教育推進法」意見交換会
わたしから始まる持続可能な社会
「異議申し立て」から「立場の違いを活かす協働の体現」に向けて
第156通常国会において「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(環境保全活動・環境教育推進法)」が成立しました。これを受けてEPO/GEOCでは、この法律の活用の可能性、運用上の課題等を環境省職員とNPO/NGO等の対話により明らかするため、標記の会合を設けました。
○開催日:8月28日(木)18:00~21:00
○会 場:環境パートナーシップオフィス会議室→(MAP)
○主 催:環境パートナーシップオフィス(EPO)/
地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
○対 象:環境教育、持続可能性のための教育に関心を持つ方
○参 加:51名 ○参加費:無料
○協 力:ERIC国際理解教育センター
関連情報
- 環境省ホームページ 成立までの経緯等
環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律のページ - 国会審議のページ
- 衆議院審議
第156回国会 環境委員会 第14号 - 参議院審議
第156回国会 環境委員会 第16号
↑、上記のリンクで画面表示されない場合は、国会会議録検索システムより検索してください。
- 衆議院審議
- 環境教育・環境学習推進法をつくろう!推進協議会(See-Act)ホームページ
- フォーラム「環境教育推進法を考えよう!」のページ
当日の様子
計画→実施→評価・今後に向けてのプロセスと概要の報告
■計画段階
●募集と応募状況:8月3日、インターネットを通じた募集を始めるとほぼ同時に「参加申し込み」のメールが届き、意見交換会に対する期待の大きさを知ることができた。日を追って申し込みは増え続け、開催の1週間前には募集定員を大きく超えたので、それ以降応募した方にはお断りをしなければならなくなった。一方、事前にいただいた意見については、整理したものを当日資料に加えた。
●参加申し込み者:
- NPO/NGOの方(公益法人を含む)…26人
- 企業の方…20人
- 研究者・学校関係者…14人
- 行政職員…3人
- その他(不明を含む)…7人
法律制定後の出発点である第1回目の意見交換会として、過去の経緯と今後の見通しを共有しながら、当日の参加者からの意見を踏まえて今後の方向性を探る会として、どのような要素を含め、流れをつくるかについて話し合い、関係者への協力を依頼しながら調整を行った。
■実施段階
●実施プログラム:
[全体会]18:10~ EPOにて
- 本日の趣旨・位置付け・すすめ方の概要について
- 「環境保全活動・環境教育推進法」制定の経緯と法律について環境省から説明
- 「持続可能な社会」とは?
- 関係者ミニ・コメント(達成されたこと/悩み・今後の課題など)
環境文明21、GEOC、環境省 - 話し合い・学び合いのルール、「疑問&今後扱いたいこと」コーナー
[分科会]19:35~ EPO & GEOCに分かれて
- すすめ方について&グループワークに入る前に確認しておきたいこと
- グループ内自己紹介
- 持続可能な社会に向けて「環境保全活動・環境教育推進法」をどのように活かすか~「力の分析」を応用して考えてみよう~(資料:別紙)
*環境保全活動・環境教育の現状はどのようなものか? 持続可能な社会の実現のために、今回制定された法律は何をすすめ、何を妨げる可能性があるのかを分析し、より効果的な法の活用方法、改善策を探る - 全体会ポスターセッションの発表係を決める
[全体会]20:40~ EPOにて
10. ポスターセッションのすすめ方についての説明
11. ポスターセッション
□グループワークの議論の共有
□賛同のコメント&質問・疑問(ポストイットに書いておくと、今後につながる)
12. 今後につなげるために
□ファシリテーター(川村、金光)、環境省からのコメント
□「疑問&今後扱いたいコーナー」で共有されたこと
□ふりかえりシート記入
*参加者の反応を見ながら時間配分・すすめ方等の調整を行い、結果としてポスターセッションの時間が短くなった。
■評価段階
- 参加者が書いた成果物…グループワーク成果物(9グループ)、疑問&今後扱いたいコーナー、ふりかえりシートまとめ(別紙)
- 1.を踏まえてのファシリテーター・主催者による総合評価・今後に向けて
評価協力:
林 浩二(千葉県立中央博物館)
村上千里(「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議)
■ファシリテーターによる評価・今後に向けて:
今回の会の目的は、制定された法律について概要を知り、持続可能な社会の実現に向けて、自分自身が、何を、どのようにすすめていくのかを1人ひとりが自分に問いかけることを最も大切にした。行政などへの批判はいくらでもできるが、そこに終始していては持続可能な社会の実現はあり得ない。行政と一市民では、情報量・意思決定権などに格差があることを充分に念頭におきつつ、1人ひとりが自分は何ができるかを考え、実践していく社会を創っていこうという問題提起の会であったと位置付けている。事前の広報からはワークショップのイメージが伝わってこなかった、今後への積み残し課題が多すぎる、行政と一市民の圧倒的な力の格差を考えた場合に平場のワークショップだけではむずかしいのではないかというご批判は真摯に受け止めている。一方、この回の位置付けと目的から考えた時に、今回の試みを今後にどのように活用するかが鍵となる。したがって少々情報量が多いが、今回の成果物のまとめと今後への提案を共有したい。比喩的な表現だが、税金を使う=社会的責任投資、または地球的責任投資と言えるのではないか。基本方針を市民参加でつくっていくこと、地方自治体の計画段階からの市民参加、力の格差に配慮した協働のあり方の実践を積み上げ、共有していくことに今回の法律がどのように活用できるのかを考え、提案を続けたい。またそのような「わたし」を育てるプロセスがさまざまな地域で展開されることを願っている。(金光律子)
■ファシリテーター・主催者・協力者による総合評価・今後への提案:
分科会(ワークショップ)では、環境保全活動・環境教育の現状はどのようなものか? 持続可能な社会の実現のために今回制定された法律は、何をすすめ、何を妨げる可能性があるのかを分析し、より効果的な法の活用方法、改善策を探ることを目的としていた。
●しかし、残念ながらこの目的は十分には達成できなかった。その理由は主に以下の3点である。
- 「環境保全活動・環境教育推進法」は7月に成立したばかりであり、法の理解が十分では無かった。
- 法が目指す最終の目的である「持続可能な社会」の姿について参加者同士が共有できる時間があまりに少なかったことである。目指す社会の姿が共有されないままに、それを築く方法としての法律を論じようとしたことに問題があった。
- これだけの議論を尽くすにはあまりに短時間であった。環境保全活動・環境教育が現状でどのように行われているか、そして法はそれに対してどのように促進し、どのような問題を抱えているか、という議論を3時間のワークショップの中で行うことに無理があった。
●一方、ふりかえりシートを見ると「満足・どちらかというと満足」と評価した人25人(回収総数に占める割合…76%、参加者総数に占める割合…49%)に対し、「不満・どちらかというと不満足」と評価した人8人(回収総数に占める割合…24%、参加者総数に占める割合…15%)と肯定的な評価が多かった。満足と書いた人は多様な意見を聴くことができたこと評価し、また、不満足と評価した人でも「より議論の時間を長くして欲しい」という意見を書いた人がいるなど、このような議論の必要性を感じていただけたことは読みとれる。
■明らかになった課題と今後の展開
反省すべき点の多い会であったが、逆に学びの多い会でもあった。今回の学びを今後に活かすため、EPO/GEOCでは以下のような事業展開を考えている。短期的には、この法律のステイクホルダー(意思決定によって影響を受ける人々)が来年春をめどに国が作成することとなっている「基本方針」に盛り込むべき内容を議論し、検討していける状況を生み出すために、GEOCでは、基本方針の策定プロセスやその役割などについて共通理解を持つための勉強会を、11月上旬に開催する必要性を確認した。長期的には、持続可能な社会に向けた幅広い議論をおこすことである。今回の意見交換会では、持続可能な社会の具体像やそれに向けての環境保全活動・環境教育の現状や問題点の議論が不足していることがわかったので、さまざまな機会を通じて議論の場を設けていくべきである。
■会のあらまし
【スタッフ】
●企画・調整・計画立案:
川村研治(地球環境パートナーシッププラザ GEOC)
金光律子(特定非営利活動法人ERIC国際理解教育センター)
協力:林 浩二(千葉県立中央博物館)
●実施:ファシリテーター:金光律子(ERIC),川村研治(GEOC)、アシスタント:足立恵理、渡辺正幸(ERIC)
●評価・今後に向けて:金光律子(ERIC),川村研治(GEOC)
協力:林 浩二(千葉県立中央博物館),村上千里(「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議)
以上