2026年10月、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)ならびに環境パートナーシップオフィス(EPO)は、設立30周年を迎えます。改めまして、日頃からのご支援に心から感謝申し上げます。
GEOC/EPOの設立30周年を記念し、2026年6月24日(水)に「GEOC設立30周年記念ダイアログ」開催しました。今回の「記念ダイアログ」では、EPOネットワークの関係者とともに外部ステークホルダーをお招きし、EPOネットワーク事業における発足時の理念及びこれまでの経緯と成果、これからの方向性について共有し、ディスカッションを行いました。
開催概要
| 日 時 |
2026年6月24日(水)16:00~19:00 (~21:00 懇親会) |
| 場 所 |
国連大学本部ビル 2F レセプションホール (東京都渋谷区神宮前5-53-70) |
| 参加者数 |
89名 |
| 参 加 者 |
- 環境省(民間活動支援室、地域循環共生圏推進室、地方事務所)
- 地方環境パートナーシップオフィス(EPO)
- 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
- 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
- EPOネットワーク関係者・外部ステークホルダー
|
プログラム
| 時 間 |
プログラム・登壇者(敬称略) |
| 16:00~16:10 |
開会挨拶
|
| 16:10~16:25 |
これからのEPOネットワークの活動方針
- 植竹 朋子(環境省 民間活動支援室長)
- 江口 健介(地球環境パートナーシッププラザ)
|
| 16:25~16:55 |
基調講演 環境パートナーシップの過去から未来へ
- 萩原 なつ子(立教大学 名誉教授、「環境パートナーシップ推進拠点に関する検討委員会(1995年度)」委員)
|
| 16:55~17:25 |
講義 地方におけるEPOの役割・価値
- 藤 公晴(青森大学 社会学部 教授、EPO東北 運営委員)
- 島田 治男(香川県中小企業家同友会 副代表理事、ローカルSDGs四国 共同代表)
|
| 17:25~17:45 |
フロアディスカッション |
| 17:45~18:00 |
休憩 |
| 18:00~18:30 |
コメント これからのEPOネットワークに期待すること
- 小林 大 (独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部 部長)
- 赤尾 健一(早稲田大学 社会科学部 教授)
- 吉田 建治(特定非営利活動法人日本NPOセンター 事務局長)
- 渡辺 綱男(国連大学サステイナビリティ高等研究所 客員リサーチフェロー)
|
| 18:30~18:50 |
講演・コメントを受けて
- 植竹 朋子(環境省 民間活動支援室長)
- 江口 健介(地球環境パートナーシッププラザ)
- 小林 大 (独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部 部長)
- 赤尾 健一(早稲田大学 社会科学部 教授)
- 吉田 建治(特定非営利活動法人日本NPOセンター 事務局長)
- 渡辺 綱男(国連大学サステイナビリティ高等研究所 客員リサーチフェロー)
|
| 18:50~19:00 |
閉会挨拶
|
「これからのEPOネットワークのミッション」について
GEOC/EPOの設立30周年を迎えるにあたり、EPOネットワークとしてこれまでの取組を振り返りこれからの方向性について議論を重ねてきました。今回の「記念ダイアログ」にあわせ、現段階での議論の成果を「これからのEPOネットワークのミッション」としてまとめ、外部ステークホルダーとの意見交換を行いました。
「これからのEPOネットワークのミッション」については、引き続き設立30周年である今年度をかけて議論を重ねてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
| これからのEPOネットワークのミッション |
| 環境政策と地域づくりの往還 |
①自然資本をベースとした協働取組の促進 多様な協働取組主体への相談対応・伴走支援を通じて、自然資本をベースとした地域づくりのための協働取組を促進することで、地域循環共生圏の実現を目指す。 |
②協働取組のネットワーク構築・拡大 対話の場を創出し、地方EPO/GEOCをハブとした国内外、分野横断型で重層的な協働取組促進ネットワークを構築・拡大する。 |
③環境政策の翻訳と、地域ニーズの環境政策へのフィードバック 地域に必要な国内外の環境政策の情報を翻訳して届けるとともに、環境省や自治体の環境政策立案や事業検討等の場に参画し、地域の声を環境行政に届ける。 |
| ※2026年6月24日時点 |
基調講演
「環境パートナーシップの過去から未来へ」 萩原なつ子氏(立教大学 名誉教授)
市民が意思決定にかかわる意義や環境パートナーシップオフィス(EPO)開設の背景、環境政策の基盤としてのパートナーシップの現状や今後のあり方についてお話いただきました。
- 市民が意思決定をしていくためには、研究などで知見を集める必要がある。その研究には専門家だけでなくその地域に住み続ける市民が関わるべき。
- 「小さな選択が政策を変えていく」と同様に「消費者の日常の選択が生産活動に影響を与える」ことから、日常の行動をどう変えていくかが非常に大事であり、その際、個人・企業・行政の連携のもとでなければその解決は図れない。
- EPOは、1992年地球サミット合意されたリオ宣言「アジェンダ21」の第10原則「パートナーシップ」に基づき設立された。パートナーシップは環境基本計画の重要な要素の一つである。
- NPOの動きは「社会の変容を映す鏡」、「変態する」ものであり、デフォルトを変更し新しい仕組みを創る意志と実行力が大事。その一方で、高齢化による担い手不足や、寄付金が集まらない等、2010年以降弱体化してしまっているのが現状。
|
講演
「地方におけるEPOの役割・価値」 藤公晴氏(青森大学 社会学部 教授、EPO東北 運営委員)
EPO東北が継続的に実施している「みちのく薪びと祭り」を通じて気づいた、地域における対話のあり方や、そこにおけるGEOC/EPOが果たす役割や可能性についてご提案いただきました。
- 「みちのく薪びと祭り」という取組を毎年東北地方6県持ち回りで実施している。自分自身や他の人が何を考えているか、膝詰めの議論を通して、新たな知見を生み出すことや感情の変化につながる。
- SDGsウェディングケーキモデルの軸は「手間暇軸」ととらえている。現地に落とし込む、相手の言葉に合わせていくことは手間暇のかかることだが、GEOC/EPOこそがその軸を担う主体。GEOC/EPOは環境・社会・経済の3段のうちの環境分野に重点を置いているが、「薪びと祭り」は社会や経済の分野ともかかわっている。
- GEOC/EPOの対話実践を通じて生まれるのは、「私たち」の創出(We-making)。市民・企業・行政・研究者等の共創を意味するが、目指すのは「私たち」の輪を広げていくこと。そのためにはあきらめない情熱のコミュニケーションが大事であり、問いが社会を変える。価値観を共有し、摩擦を起こしていくことでエネルギーを生み出す。
|
「地方におけるEPOの役割・価値」 島田治男氏(香川県中小企業家同友会 副代表理事、ローカルSDGs四国 共同代表)
四国EPO運営業務の変遷や、ローカルSDGs四国のプラットフォームについてのご説明と、そのうえで次の10年で求められうるEPO機能についてお話いただきました。
- 2021年にローカルSDGs四国を設立し、「いのち輝く、青い国・四国を次世代へ」というビジョンを掲げている。次世代につなぐため、地域の若い人たちが県外に出ても再び地域に帰ってくる仕組みの構築を目指している。
- 分科会活動を積極的に行っている。地域エネルギーや南海トラフ地震対策、ESDなど複数の分科会が結成されており、ローカルSDGs四国はそれらをつなぎ、円滑運営するための情報が集まるプラットフォームとして機能する。
- 中小企業化同友会もEPOの事務局も、「行政との連携や対話を行い、それによって地域が変わる」という役割を担うものであるべき。対等な対話を重ね、その地域を一緒に作っていくことが重要。
|
フロアディスカッション
4~5人のグループに分かれて講演を受けての意見交換を行いました。
その後、登壇者には以下のような感想や質問が寄せられました。
- 国連大学の立場から、GEOC事業を国際面で応援している。地域のことを発信していくことが重要であるため、国際的な発信を強化していきたい。
- 人材育成をどうしていくのか。市民社会の機能もどんどん多機能化しているため、全員参加やだれでも参加可能という形式にすると、専門性に欠けやすい。いかにして専門性のある人材が市民社会に入ってもらうかが鍵だと思う。
- (藤氏)若者はかっこいい大人と会いたい。JEEFでは清里ミーティングを開催して学生ボランティアを募集した。外部の人との出会いが着火点になり、そこから成長していける。教育以外での学びをどうセッティングしていくかが重要。
- 1年から3年程度の契約で長期ビジョンを掲げるのは難しいと思う。
- (萩原氏)難しいと思う。契約の期間は伸ばせないことに加え、組織としても人が変わると継続していくことは難しく、知見が蓄えられない。働く人の経済的基盤を組織的に整えることが必要。
- (藤氏)例えば、3年程度の助成金で長期的な活動にしていくのは限界があるが、その間にいかに自分たちにしかできないものをブランディングできるかが重要。
- 「デフォルトを変える」ということに関して、若い人の中では実は変わってきていると思うが、そのためにどんなことをしたら良いか。
- (萩原氏)上の人たちと若い人たちの間にはギャップがあり、変わっていることに気がついていないことが多い。アンコンシャスバイアスの話で、壁を目の前にした背丈の違う3人の椅子の高さを変えて、何が公平がという議論があるが、その壁をガラスにしたらどうなるか。このような抜本的な転換が必要。枠組みを変えようとしない中で小手先の議論をしても仕方がない。
- (島田氏)木造建築の会社の方が「その木を守ることが地域を守ることになる」とおっしゃっていた。中小企業でありながら何ができるかを考える。地方を見ることができるのはそこで育ち、周囲の人や行政に話せるからであり、大人がそういうことを言える社会を作りたい。
|
コメント
「これからのEPOネットワークに期待すること地方におけるEPOの役割・価値」
小林 大氏(独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部 部長)
赤尾健一氏(早稲田大学 社会科学部 教授)
吉田建治氏(特定非営利活動法人日本NPOセンター 事務局長)
渡辺綱男氏(国連大学サステイナビリティ高等研究所 客員リサーチフェロー)
- (小林氏)EPOネットワークについて、多くの先駆的なNPOとつながっているイメージとして語ることがこれまで多かった。地球環境基金に関しても適切に使ってもらうことに重きが置かれていたが、これからはどう成果につながっていくかをより考えていかなければならない。NPOや市民団体をどう活用していくかが重要になる。昨年度から、地域の課題をどう解決していくかということに関して各地のEPOと連携しながら調査研究をおこなってきた。これからの事業の方向性に対して色々と示唆をいただいている。そういったことを束ねているGEOCとの連携を強化していくことをこちらからもお願いしたい。
|
- (赤尾氏)地域循環共生圏創造事業は他に類を見ないユニークな事業だと思っている。通常の公募事業は、まず解決すべき社会課題があり、それに対してメニューが用意され、その中から自分たちに合うものをやっていく。地域循環共生圏事業は全く対照的で、地域の方に自分の課題としての地域課題を見つけてもらう。その地域課題を社会課題と結び付けて、社会全体に還元する実践的な取組をおこなっていく。この事業は人々のやる気や意識を引き出す、また意識をもって取り組んでいるがコミュニティに所属していない人たちを繋げて、その人たちの活動を地域の課題に結び付ける、ということをEPOの皆さんはおこなっており、それは素晴らしいことだと思う。
|
- (吉田氏)Green GiftプロジェクトでEPOと関わる中で、同じNPOでも関係性の持ち方や活動のやり方がこれほど違うのかと文化の違いを感じることだったり、協働を担うEPOネットワークの力を強く感じたりもした。現在、保険会社による生物多様性の取組支援として、自然共生サイトの登録支援も行っている。企業が保有する自然共生サイトも多くあるが、フィールドの活用という意味ではNPOの方が企業に比べて優位性があると思う。地域における環境の取組はライフスタイルと密接につながっており、様々なテーマとの接続の可能性がある。多様な主体の連携という意味で、環境分野以外の団体とGEOCをつなぐといったように、ともに歩くパートナーとして今後も連携していきたい。
|
- (渡辺氏)COP10の時にGEOCと出会った。開催地である名古屋では地域での議論を後押ししてくれたが、いろんな人たちが議論のプロセスにかかわるかどうかが重要になる。人と人、人と地域のつながりを担うGEOC/EPOの役割を強く感じた。社会全体の協働が重要だが、たくさんの人がかかわると合意形成が難しくなる。SDGsができてから参加してくれる人は増えたが、価値観の違いはさまざま。ただその価値観の違いを超えたときにいろんな学び合いや協働が生まれる。みんなで協働してデザインしていく、そのプラットフォームになってほしい。
|
講演・コメントを受けて
- 30年前からの時代の変化を強く感じている。また、1992年のリオサミット後の日本社会への影響が大きかったことが改めて分かった。今でも国連の動きはあるが、恐らく日本社会への影響力は昔に比べるとそれほど大きくない。時代の変化に伴って難しい方向にあるからこそ、取組の見える化が重要。より多様な価値観を持つ方々と協働していきたい。
|
- 30年前と比較すると、脱炭素やネイチャーポジティブなど企業の取組には隔世の感がある。ただ、人口が減っていく中で、企業の動きだけでは限界があり、やはり市民セクターの動きが重要になると思っている。また、情報技術の発達もある中で、ローカルに活動する人とグローバルとがどうつながるか、GEOCはその橋渡し的な存在だと認識している。
|
その他、コメンテーターの方からは以下のようなご意見を頂戴しました。
- その地域にどういう環境を残したいかという地域のビジョン形成において、NPOの力が発揮される。
- 公益性や人権が大事だといいつつも、経済性に絡まれがち。そこでどう折り合いをつけていくか。世代間格差もあり、道徳や倫理に依存するのにも限界がある。一方で、目に見えないものも評価する方法もいくつかある。EPOの活動の成果をWell Beingの観点から評価したい。
- 中間支援をしてという言葉がよく聞かれるようになった。どういうノウハウがあるか、パートナーとして議論していきたい。また、EPOとして協働事業を企画していただきたい。
|
GEOC30周年記念展示
会場後方に、「国内外の社会動向とGEOCの活動」をまとめた年表を当時の写真などとともに展示。メッセージボードには、参加者の皆様から「今後のEPOネットワークへの期待や提案」が寄せられました。
当日の様子

萩原なつ子氏による基調講演

左から順に、江口健介、植竹朋子室長、萩原なつ子氏、藤公晴氏、島田治男氏

左から順に、江口健介、植竹朋子室長、小林大氏、吉田建治氏、赤尾健一氏、渡辺綱男氏

GEOC30周年記念展示の様子

終了後の集合写真