イベント・セミナー

南フランスエコミュゼ訪問記 1000mの岩稜を結ぶルドゥ-ル・ガボ地域

東京都

この地域はフランス南東部、イタリアと国境を接するアルプ-マリチム県にあり、観光都市ニースに隣接している。県人口の8割を越えるニース市とその周辺の平地部に対して県の8割は1000m級の山岳地帯でありのそこに2割弱の人々が石灰岩質の切れ込んだ深い谷間と比較的なだらかな山稜の上に小さな集落(ほぼ1つのコミューン)が点在している。

そのニース文化圏とは異なり、この地域はガボ(gavot)と呼ばれる山岳居住の民俗文化を持つ地域で、かつては言語もガボと呼ばれる地方言語を使っていた。

法人格を持ち、23のコミューン、県などからなる自主的でボランタリーな市民委員会で組織されている。

1986年、エコミュゼはピュジェロスタンや広域ルドゥ-ル地域の活性化を提案し、法人として認可されもうすぐ30年を迎える。

ミュゼが30年間存続して来た理由は、国が上から始めた訳ではなく、地域の人々が始めたものなので、ボランタリーにサポートする人々や体制があるので存続できているという。このミュージアム事業の成功で住民の数も当初19人だったのが現在は114人にまで増えたという。

その目的は決して観光ではなく、アイデンティティーの再構築にあるという。観光経済の振興が前に出ようとする日本のあり方とはニュアンスが違った。そのあたりを紅葉し始めた美しい南フランスの写真を見ながらみなさんと考えてみたい。