生物多様性学習会@広島市【開催報告】(10/15)

 生物多様性学習会

環境NPOのための政策提言入門セミナー

「生物多様性を地域でどう守るか~NPO・NGOに期待される役割~」@広島市【開催報告】

○日 時:10月15日(土)13:30~16:30(13:00受付) 

○会 場:中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)

○主 催:GEOC

       特定非営利活動法人 シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 

○協 力:公益財団法人 日本自然保護協会

          特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター

           中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)

○プログラム

13:30 開会あいさつ・趣旨説明 (GEOC/シーズ) 
13:50 基調講演1 日本自然保護協会 道家哲平氏
      「CBD-COP10の成果と課題 今後の生物多様性政策と市民活動」
14:20 基調講演2 CEPAジャパン 川廷昌弘氏
        「広めあおう、学びあおう、伝えあおう、もっと身近に、生物多様性。」
14:55 休憩
15:10 事例紹介 八幡湿原自然再生協議会会長 中越信和氏
     「北広島町生物多様性の保全に関する条例について」
15:30 ディスカッション 
        グループA
       「豊かな地域を保つためにできること~NPOとして、個人として~」
        グループB
         「提言から実現へ~アドボカシー活動のポイントを考えよう~」
16:30 全体まとめ
16:40 閉会

 

■内容の概要

冒頭の趣旨説明ではシーズから、NPOによる政策提言のポイントとそのプロセス、進め方の具体的な方法などについてのプレゼンテーションがありました。

基調講演をされた道家氏からは「CBD-COP10の成果と課題 今後の生物多様性政策と市民活動」と題して、2010年10月に開催された第10回国連生物多様性条約締約国会議(COP10)の成果とNGOの活動について説明がありました。川廷昌弘氏からは同じCOP10でNGOとしての発言がどのように国連決議につながったかの経過の報告と生物多様性に関する啓発活動の重要性について説明がありました。愛知目標達成のための「にじゅうまるプロジェクト」の紹介もされました。

後半には地元の活動事例として「八幡湿原自然再生協議会」の中越信和会長から、「北広島町生物多様性の保全に関する条例」について、その検討プロセスなどについて発表いただきました。

その後、政策提言を中心にしたグループと啓発活動に重点を置いたグループの2つに分かれてのディスカッションを行いました。

○各グループから出された意見

啓発のグループでは生物多様性保全のために具体的にできることについて、CEPAジャパンの事例を参考に話したり地域の人とのかかわりの重要性などについて話しました。

主に出た意見

・生物多様性を伝えることの中で実際に守るという時に何を伝えたらよいか、例としてCEPAジャパンの5 Actions(地産地消、自然を感じる、クリエーターになる、自然と自分の絆を再発見する、生物多様性の保全をしている商品を選ぶ)が紹介された。

・生物多様性は外来語。生物学的多様性では衣食住は説明できない。biodiversityも造語  である。保全は人と自然のかかわり、暮らしを支えるもの。 

・森がどれだけの恵みを育んでいるか。“つながり”“先人の知恵”がキーワード。都市化してつながりが薄くなってきている。“地域の宝”も地域の知恵がないと宝ではない。

・生物多様性に地域共通のテキストはない。

・普通の人には身近ではない。具体的に見えればがんばれるが、自然が身近にないので続かない。

・里山に住んでいる人にとっては宝として認識していない。

・蝶の固有種を守るなど、自然保護活動のきっかけを作り、それから地域を理解するようなつながりを深める。たくさんの人や要素がからめあって地域保全につながるということ。俯瞰できるようになってくるのが大事。

・学生の中には多様性がいること自体を否定的に思っている。違う局面もある。

・伝える技術が大事。教えるだけではなく、自分たちが気づくことができれば改善されるのではないか。研究者と行政が取り組んでいたりするが上手に伝える人、翻訳する人が大事。

・生物多様性“保全”の話だけ? 規制だけ?持続可能な利用についてはあまり語られていない。もっと押し出したらいいと思う。

・“いただきます”は万人向けではないか。日本文化、日本の知恵を発信しないとならない。

・10歳までの自然体験が大事、皮膚で感じられることと乖離してしまっている。

・自然に学ぶことと平行して、そこに暮らしている人との交流をすることで利用について学べると思う。人とのつながりを創ることで生き方など学べると思う。

政策提言のグループでは、政策提言の手順に沿った進め方について議論し、大事なポイントとして以下のポイントが提示されました。

1)誰を巻き込むか キーパーソンをどう見出すか検討する

2)自然を守るために共有できるゴールを設定する

3)企業、まちづくりのなかでの保全の取組例から学んでみる

4)教育関係の人などステークホルダーの拡大を図る

5)条例を作った人や研究者と上手に協働することが必要

6)審議委員や議員にインプットするなど、周りに自分の意見を波及させる

○各講師からのコメント

道家)地域戦略はなぜ作るのか、の理由として地域ブランドを考える最短の道であると仮定するのも一つの策。地域にしかないものや人、物語など固有のものの集大成がそこにあり、地域づくりにおいて生物多様性はカギになる。旧来の自然保護からさらに広げていくことが課題と思っている。

川廷)参加した高校生が、ただ自然を見に行くことではなく、そこに暮らす人と交流し、自然の使い方、生き方を知ることが大事と思う、と気づいてくれたのがうれしかった。そこから地域のブランドが生まれていくのだろう。生物多様性の保全ではなく“利用”を考える上で“いただきます”という言葉、考え方が重要と思う。

中越)北京での景観生態系学会で生態系サービスをお金に換算したという発表があった。生態系サービスの経済的価値を考えてみてもらいたい。そういう視点も必要。

呉に造船所ができたのは、山からの水がきれいだったからである。生態系サービスの意味を身近に感じてもらえるのではと思う。自然の資源は生物多様性につながっている。ぜひ検討して活動つづけてほしい。