公害資料館連携フォーラムin富山 Vol.3 ~未来に向けた関係づくり~

新年あけましておめでとうございます!2015年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

ブログを書かねばと思っているうちに、年をまたいでしまいましたが…前回に引き続き「公害資料館連携フォーラムin富山」の報告をしたいと思います。

このフォーラムでは、二日間をかけて合計7つの分科会が開催され、いずれの分科会でも濃い意見交換がなされましたが、私が参加した中で特に印象的な分科会を2回に分けてご紹介したいと思います。

一つ目は、6日に開催された「企業との関係づくり」の分科会です。こちらの分科会は日本自然環境専門学校の五十嵐実さんの進行の下、神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会の髙木代表理事、県立イ病資料館の村田副館長、そしてイタイイタイ病の加害企業である神岡鉱業株式会社から中山常務らが登壇しました。緊張感ある信頼関係をこれまで相互に築いてきた被害者団体と加害企業ですが、2者がそろって公開の場で話をするということは初めてだったそうです。またその場に客観的な立場でもある公立資料館が入ることにより、単純な被害者対加害者という構図にはならなかったように思います。

企業との関係づくり 分科会

企業との関係づくり 分科会

まず中山常務から公害の発生源対策を中心にこれまで続けてきた取組を話していただき、その上で五十嵐さんからの質問に対して3名が答えていくという形式が取られました。「40年を越える継続的な関係性の維持にもっとも気を使ったことは?」など、まさに当事者のみが語り得る事柄を共有することで、分科会全体で「被害者団体-加害企業-資料館」の関係づくりについて学びを深めていきました。登壇者の発言の中では、基調講演にも結び付いた髙木会長の「対話により前進も反省も生まれる」という発言や、中山常務による「ここまでやっている企業はないと言えるほど、従業員が全員「公害監視員」の役割も負っている」という発言が特に印象に残りました。

 

2013年12月に「イタイイタイ病の全面解決に向けた協定書」が取り交わされました。しかし、イタイイタイ病を後世に語り継ぎ、二度と繰り返さないという点においてはむしろこれからが重要になってくると思います。過去に起きたことから互いに目をそらさず、忍耐強く関係性を作ってきたことがこのような分科会の場につながり、さらにこれから先の持続可能な未来にもつながっていくのだと強く感じました。

 

kensuke eguchi