環境保全活動・環境教育推進法 意見交換会 議事録1 2012年1月14日

環境保全活動・環境教育推進法”
基本方針についての意見交換会(第3回)議事録

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環境省民間活動支援室:滝口直樹より基本方針概要(案)の説明の後、参加者各自がコメントシートを貼り終え、コメントの分量を鑑みた上で後半のディスカッションをスタート。

1.環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な事項について

○ファシリテータ:青木将幸氏

 こんにちは。青木将幸と言う。A SEED JAPANという環境NGOをやりながら環境教育に関わっている。今回の意見交換会は、パブリックコメント(以下、パブコメ)に出す前のNPO同士の意見交換という趣旨と聞いている。ここで発言しても、パブコメを書かなければ政府に届かないスタイルになっている。パブコメを書くための材料であるということでご確認いただきたい。他のNPO/NGOがどんな事を考えているのか確認して、良い意見をパブコメに入れて行こう。重要な間違いや修正しなければいけない点があれば、NPOは一致団結して一生懸命パブコメを書かなければいけない。また環境省の担当の方に質問を出せるのは、パブリックコメントを出す前ではこれが最後のタイミング。質問があれば瀧口さんにできるだけ答えていただきたいと思う。 では、みなさんに壁に貼っていただいた紙を材料に、意見・質問を補足していただいたり意見を交換したりしたいと思う。では、順番に読んでいく。

(1)私たちの目指す持続可能な社会と環境の保全 について

編集注:オレンジ色の枠内は、参加者の方が壁に張ったコメントシートの内容です。

「持続可能な社会」像と合わせて将来(例えば2020年の日本の理想)像を具体的に国家戦略として示す必要があるのではないか。
 -帝人(株)マーケティング企画室:古平明尚氏

第一番目の文では、「持続可能な社会」の構築のための一つの手段として、環境保全への取り組みがある、と考えると、目的と手段が逆ではないだろうか。
 -石井誠治氏

環境破壊はかなり進んでおり、教育では遅すぎるのでは。保全維持は法で、罰金で対応すべきである。
 -(株)関電工 松江良年氏

○ファシリテータ:青木将幸氏

 では追加・補足説明をしたい方は?

○(株)関電工:松江良年氏

 目的が教育では遅い。環境問題は深刻であり、罰金設定が必要。環境汚染はもう既に分水嶺を越えている。意欲を促進している段階ではない。罰金を取って厳しくやって欲しい。

○帝人(株)マーケティング企画室:古平明尚氏

 将来の日本の理想像を、国家戦略としてバックキャスティングで具体的に示す必要があるのではないか。そこから振り返って、環境教育とはどういう役割を果たすのかを、中期戦略などで位置づけていって欲しい。

○環境省民間活動支援室:滝口直樹

 まず環境保全の為には教育でなく罰金で対応を、との御指摘については、役割分担だと思う。自然保護や廃棄物など厳しくやらなければいけない分野については厳しく。規制は必ずしも万能ではない。この法律は自発的な活動について、ちょっと後押しをしていこうというアプローチである。
 2020年の理想像を示すべき、との御指摘については、生物多様性国家戦略のように、国家戦略の目指す姿(イメージ)を取りまとめる、というあり方もある。今回は非常に幅広い「持続可能な社会をつくる」という立場の中で位置づけられる法律であるので、具体的なイメージまでたどりつけなかった。今回の基本方針では、4つの基本的な認識という形で書かせていただいている。

(2)今後の取組の基本的な方向 について

①環境保全の意欲の増進についての取組の方向

参加したことが役立ったという実感が持てる「貢献」が実感できるコミットメントの枠組みを作ることが必要である。
 -「NPO法人・環境ケア」設立準備会:増山博康氏

1.(1)の認識と(2)の間のギャップが放置されている。解決策を自然的取組に限定していることがそもそもおかしいくはないか。
 -千葉県立中央博物館:林 浩二氏

②環境教育の推進についての取組の方向

合意形成のために色々と工夫する”というセンスを育てる教育が必要である。環境問題は“広域”、“多人数”が特徴である。当然合意形成が必要である。
 -NPO武蔵野・多摩環境カウンセラー協議会:宇野哲夫氏

○「NPO法人・環境ケア」設立準備会:増山博康氏

国家戦略をつくるのは賛成だが、国家戦略を国が作ることには反対。国民目標は、国民めいめいが発言して、納得したら動く、というもので国が作るものではないという気もする。環境の破壊はかなり進行していて、今年の夏の異常気象もその影響が大きいと感じている。「参加している実感ができるコミットメントの枠組み」が必要。意欲の増進より、自分がやったことはどんな役に立ったのだろうか?具体的に気温が下がった、酸性雨が少なくなったとか、実感できるしくみをどう作っていくか?が重要であり、それがモチベーションになる。自分が参加したら、これだけ世の中変わったのだという実感が、大衆運動の鉄則だと思う。環境教育の意欲の増進の中には、参加・貢献によりこれだけ変わったのだという実感が体感できる枠組みがほしい。

○帝人(株)マーケティング企画室:古平明尚氏

国家戦略の取りまとめを、NPOや企業などのステークホルダーとコミュニケーションをして進めるのなら、国でもいいと感じている。まず仕組みを示して、コミットして責任を出してやっていく事が必要であると感じている。欧州ではその形式で行われている。

○沖縄大学名誉教授:宇井純氏

意欲の増進を、“お上”から言われると抵抗感を感じる。上からとやかく言われる事ではない。確かに普及の為の努力というのはあるだろう。やっているところはやっている。ただ上から言われると、余計な事という印象がある。国の方針の説教調の部分は切ったほうがいい。基本方針の懇談会も学校の先生が多いのでつい説教調になるようだが、現場の人間ならこんな風に書かない。

○ファシリテータ:青木将幸氏

意見交換会の進め方はいろいろあると思うが、他の人の意見を聞いて、議論の途中に他の方の意見に賛同を示す場合、手をひらひらさせるルールがあるそうだ。他の方の意見に賛成・反対など意思表示をすると良い。お互いにコミュニケーションをとって行こう。はいどうぞ。

○埼玉県日高市立高根中学校:内藤定芳氏

学校の先生が多いというご意見だが、ここに学校の先生は何人いらっしゃるか? (一同:反応無し) 学校の先生は、こういう場所にはほとんど居ないものだ(一同、笑)。懇談会にも僅かしかいない。私はNPOもやっているので両方の立場からものを言いたいが、この法律では実際の学校現場が忘れられている。学校現場の声が届いていないから、実際のところ上滑りのものになってしまう。現場では規制が無いと始まらない。学校教育という日本国民の一番基本的な場所で、「環境教育」は“九九”や“あいうえお”のようにどんな生徒にも平等に与えられるべきものと思うのか、一部の熱心な先生のいる学校でやればいいものと考えるのか?ということ。私は最低限のことはやったほうがいいと考えている。環境問題が深刻で地球が10年もたないという意見があったが、罰則規定については、スピード違反をしたら処分を受けるということを知らなかった人がスピード違反をしたときに突然処罰を受けたら怒るのではないか。環境教育は因果関係の教育でもある。環境教育をすべし、という規定をしていないで突然処罰から入るのは良くない。だから全員に環境教育をやったらという話しなのだ。

  →次:2(1)「政府が実施すべき施策-基本的な考え方」について


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index(もくじ)  ・ 0:挨拶・基本方針についての説明  ・ 1:「基本的な事項」について  ・ 2(1)「政府が実施すべき施策-基本的な考え方」について  ・ 2(2)「政府が実施すべき施策-推進のための施策」について  ・ 3:「その他の重要事項」と事項以外のご意見