環境保全活動・環境教育推進法 意見交換会 議事録2(1) 2012年1月14日

環境保全活動・環境教育推進法”
基本方針についての意見交換会(第3回)議事録

 

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前項「推進に関する基本的な事項」を終え、「政府が実施すべき施策に関する基本的な方針」についてスタート

2.環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関し政府が実施すべき施策に関する基本的な方針

(1)環境保全の意欲の増進、環境教育の推進にあたっての基本的な考え方 について

①環境保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する考え方

学校での環境教育どの枠で行うのでしょうか?時間、予算・・・、今の範囲内では難しいのでは?
 -兵庫県環境政策課:西川文雄氏

○兵庫県環境政策課:西川文雄氏

私は行政にいる者だが、学校の教育では、環境教育はどの枠でやるのか? 時間・枠・予算どれをとっても今のままでは難しいのでは? 大事だということは分かっても、現在の状況では教員個人の資質に依存しているところが多い。子ども時に皆が学習するのは大事なのだが、総合の時間でやっているだけ。

○環境省民間活動支援室:滝口直樹

本来、文部科学省の答えられるところだが、なかなか多忙で来られないようだ。学校教育での環境教育の位置付けは、主には総合的学習の時間であり、各教科の中にもそれなりに位置づけられている。確かに総合の時間を先生方だけで準備するのは難しいという現場の声がある。だから、学校という閉じた空間の中で悩むのでは無くて、地域で環境保全活動をしている人達や家庭と連携をとり、環境教育を実現するということ。その連携をとるコーディネーターの必要があるということ。そこで、コーディネーターに関する記述もかなり入れさせていただいた。

○NPO武蔵野・多摩環境カウンセラー協議会:宇野哲夫氏

環境問題で合意形成が必要になった場合、“合意形成の為にいろいろと工夫する”という感覚を持つように教育する必要がある。現在の環境問題の特徴は、広域であり関係者が多人数ということ。一つの問題に多くの人が関わる場合は合意形成は必要になってくる。例えば、23区の西部・多摩の東部は交通渋滞がひどい状態なので、30年以上も放置されていた外環道(都市計画道路/東京外郭環状道路)はやはり必要ということになったが、不用意に作られたのでは環境悪化の原因になりかねないから、様々な環境保全対策が必要となる。そこで協議委員30人から成る外環協議会が作られ、既に2年間以上続いているが、未だに結論は出ていない。そこでの印象は、合意形成のための工夫が全くされていない。PI(パブリックインボルブメント=道路などの計画づくりの初期の段階から、関係する市民等に情報を提供しつつ広く意見を聴き、それらを計画づくりに反映すること)は公共事業の際には欧州では普通だが、日本人の話し合いには“問題分析と目的設定”“代替案”“プロセス設定”“ルール設定”といった、合意形成を図る系統的な仕組みづくりが全く見られない。そこで、環境教育の中で“合意形成を図る系統的な仕組みづくり”を入れて欲しい。

②環境教育の推進方策に関する考え方

この法律が推進する範囲には政策提言は含まれますか?
 -沖縄大学名誉教授 宇井純氏

○沖縄大学名誉教授:宇井純氏

>質問だが、この法律の推進するものの範囲の中に、政策提言や反対運動のようなものは入っていないのか? 井部さんの調査の文章によれば、(担当者からの説明では)反原発・ダム反対はこの中には入ってこないと言うことだ。しかし、実際には環境教育の中には、非常に大きな部分を現実には占めている。自ら汗を流して環境を良くする運動を支援するものであって、反対運動や政策提言は含まれません、というのはおかしいのでは?

○環境省民間活動支援室:滝口直樹

この点は、法律作成の際にも正に論点になった所。そういう意味では、同僚の説明もぶれていたところはあると思う。各地の説明会で説明してきたが、反対運動だからという理由で法律の外に置くということではない。反対のための反対運動ならともかく、“反対運動”と“政策の提言”は立場・見方の違いにより、呼び方が異なるだけで表裏の関係にある。自らの意思で環境を良くしようという志向性の下に行われているものであれば、環境保全活動に当然入ってくる。入って欲しくないと思っている役所は当然あったので、法律を作る過程ではそこをあいまいにしたところはある。そのために説明が少々ぶれたところもあるが、私としては入っていると理解している。

○千葉県立中央博物館:林 浩二氏

滝口さんの誠意は疑わないが、法律の条文を見る限り、滝口さんの発言は個人的なものという印象をもつ。現に文部科学省はおろか、この法を所管する他の3省はこの場に来ていない。それぞれの省庁がこの法で何をしようとしているのかが今になっても見えてこない。パブリック・コメントの段階まで来ているが、今回の基本方針概要案についても、「旗振り」的記述ばかりで具体性が乏しく、パブリック・コメントを求めるようなものとは見えない。条文からは政策提言といった観点が外され、反対運動は排除されているというのが、私の印象である。

○「NPO法人・環境ケア」設立準備会:増山博康氏

宇井さん、林さんのご意見には、同意できるところが多数ある。法律もできて基本方針の段階で、どういう風穴を開けておくかということだと思う。昨日、東京都の下水道の見学会に行ったが、東京都で年間8,000億円使っている。下水道料金では1,700億円しか賄えず、残りは税金で補っているということだった。しかし、硝酸性窒素などは浄化できていないので、赤潮の問題は解決していないし、貝毒の問題などを起こしている。上下水道やごみなど都市のインフラを変えなければ、個人的な努力や自然体験だけでは環境問題は絶対に解決しないと思う。合意形成についても、そういった都市のインフラに対してどういったシステム選択をしていくのか、市民が意思決定に関与していくということが重要。それを総論として今ぶつけても、実体としてどれだけ実効性をもてるようにできるのかということを感じる。風穴は、「参加の実感をいかに持てるか」ということを盛り込んでいくことだと感じている。最後の勝負は法律が運用される現場・地方レベルで、大衆運動と自治体との確執で決まるので、そこで役立つ条文をいかに盛り込めるのか、ということが今のポイントだと思う。

○ファシリテータ:青木将幸氏

残り50分。なるべく多くの方からのご意見を伺いたい。方向性の多少今までと異なるご意見。では次の項目へ。

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index(もくじ)  ・ 0:挨拶・基本方針についての説明  ・ 1:「基本的な事項」について  ・ 2(1)「政府が実施すべき施策-基本的な考え方」について  ・ 2(2)「政府が実施すべき施策-推進のための施策」について  ・ 3:「その他の重要事項」と事項以外のご意見