環境政策提言セミナー第2回 【開催報告】 2012年2月9日

環境省では、平成13年度から毎年、民間の視点・アイディアを環境政策に活かすため「NGO/NPO・企業環境政策提言」事業を実施しています。
政府全体としても「新しい公共推進会議」で、市民による政策提案制度の積極的導入が提案され、今年大幅に改正された「環境教育等促進法」にも、「政策形成への民意の反映」が位置づけられるなど、今、「政策提言」に注目が集まっています。
政策提言とは、具体的にどのようにすればいいのか? どんな内容なのか? 提言策定のポイントは? 過去の優秀・優秀に準ずる提言は、その後どうなったのか? といった疑問に答え、「NGO/NPO・企業環境政策提言の仕組みと意義」についてのセミナーを開催しました。

【開催概要】

■日 時:平成24年1月20日(金)18:30~20:30

■会 場:環境パートナーシップオフィス(EPO)ミーティングスペース

■主 催:環境省関東地方環境事務所

地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)

 

【プログラム】

18:30~  開会/開催主旨

18:35~  提言事業の概要説明/提言作成のポイントを説明・質疑

環境省関東地方環境事務所 河瀬貴広氏

18:50~  提言書のポイント再点検

(特活)シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 北澤哲弥氏

19:10~  過去の優秀提言等の分析と提言作りの参考ポイント

環境パートナーシップオフィス

環境活動支援工房 滝口直樹氏

19:40~ コメント・政策提言のポイントについて

NPO/NGO・企業環境政策提言推進委員会 崎田裕子 委員

19:55~ 質疑応答

20:15  閉会(以降、希望者は個別相談)

21:00  終了

【主な内容】

・開会/開催主旨説明

挨拶 環境省関東地方環境事務所 佐藤さえ氏

 

・政策提言事業の概要説明

環境省関東地方環境事務所 河瀬貴広氏

 NGO/NPO・企業環境政策提言概要と環境政策作成のポイント(PDF:501kb)

環境政策提言事業の主旨説明と、昨年度の応募状況についての説明。

今年度の募集概要 提言区分に地方自治体への提言及び地方自治体で実現すべき提言が加わったことが特徴。

 

・提言書のポイント再点検北澤氏

(特活)シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 北澤哲弥氏

政策提言のポイント再点検 (PDF:651kb)

政策とは何か、政策提言とは何か、政策提言活動のプロセスについて事例を交えながら分析。課題にかかわる情報収集、ステークホルダーの整理、目標を設定し、効果や結果を予測したうえで活動内容を特定していく手法などについて説明があった。

 

・過去の優秀提言等の分析と提言づくりの参考ポイント

環境パートナーシップオフィス

環境活動支援工房 滝口直樹氏滝口氏

過去の優秀提言等の分析と提言作りの参考ポイント(PDF:197kb)

過去の優秀提言、優秀に準じる提言一覧(PDF:227kb)

過去の提言政策へ反映状況などについて(PDF:285kb)

過去10年の政策提言事業応募総数498件・優秀と優秀に準ずる提言76件を分析し、優秀提言の傾向やポイントについてのレクチャーがあった。

行政が実施主体であるものだけではなく、NPOが中心となり行政が参加したマルチステークホルダーが主体となるもの(例:協議会)もある。枠組みをベースに効果を上げていくような提案が望ましい。

ポイントは、社会として求められている課題に取り組むもの、働きかける相手の明確化されているもの、補完性の原則をふまえて効果的な手法・枠組みを選び、協働で取り組むもの、政府では思いつかない市民ならではの発想を基にしたものなどである。

 

・コメント・政策提言のポイントについて

<NPO/NGO・企業環境政策提言推進委員会 崎田裕子 委員>

環境省の政策提言委員会の委員、環境ジャーナリスト。政府の職員では提案できないような広がりのある分野横断的な提案が出ると、民の目線での提案として評価される。環境は、環境省だけが旗を振ればできる話ではない。全部のセクションが取組み、コーディネートするのが環境省であるような斬新な提案が望ましい。

あまり理想を追いすぎると難しいが、今の仕組みでは環境政策は変わらない。現場感覚を大事にし、おかしいと思う点を繋ぐような提案を出してほしい。現在、環境基本計画の見直しの真最中で、中間報告についてはパブコメを受け付けている。分野を横串につなぐ「人づくり・地域づくり」(環境教育、活力ある人々が地域を作る)などもテーマ。

大震災以降、エネルギーや食糧の自給率を高め、自立することの重要性が見直されている。食料・資源・エネルギーが喫緊の課題である。どういうところで政策化するとよいかなどの提案がほしい。

横串の2つ目は「グリーン・イノベーション、グリーン・エコノミー」。RIOサミットのテーマでもある。日本は技術立国として技術をシステムとして金融機関を交えて経済が回る仕組みを定着させる、環境をビジネスとして取り組むときに、相手の自然資本をきちんと生かす視点が求められる。崎田さん

3つ目は「国際的な連携」。日本とアジア。途上国でも発展している国がある。他の国との協力関係をどう保つか。

皆さんに期待するのは、地震、津波、原子力発電の問題を抱え、節電は徹底する、自然エネルギー、原子力の依存度を下げるといったエネルギー分野の提案。原子力の安全運用、福島の対策など、今の政策づくりが追い付いていないこともあるので、素晴らしい提案が出ることを期待する。

提言書の書き方だが、「④政策の実施方法と全体の仕組み」の項目については、オリジナリティあふれたものがほしい。また「⑤政策の実施主体」には、どういう主体を動かしたいかを明確にして欲しい。日頃から国への政策提言を専門的に考える団体の提言も評価したい。自らの活動の経験をもとに、もっと社会に広げるべきという身近だが素晴らしい提言も評価したい。国と地方を同じ評価軸にするのはむずかしいことから、自治体への提言と区別し、今年度から地方枠を設けた。

質疑応答

Q:政策提言に興味のある個人。応募資格は、NPO法人でなくてもよいか。

A:よい。

Q:個人で提言するのはどうしていけないのか

A:NGOや企業から受け付ける。提案をするだけではなく、実現するためのパートナーとして力を発揮してほしいからである。フィージビリティ調査を視野に入れている。

今後の実現を考えると、団体で提案してほしいが、個人でもあれば、政策提言のためにグループを作って応募してもいい。団体がしっかり書いてあることは大事だが、団体の実績などは評価しない。多くの団体に呼び掛けて広げることも視野に入れてほしい。

Q:応募するときに、法人として出すが、施策の実現の時には商工会などいろいろな団体に呼び掛けるということでもいいか。

A:政策の実施主体⑤のところであるが、今できていなくても、理想の形を書けばいい。

Q:「④政策の実施方法と全体の仕組み」と「⑤政策の実施主体」の書きわけがむずかしい。

A:④はシステム、提言の全体像。提言の趣旨を実現するにはどのような主体が組むか。実現するときの枠組み。⑤は、一番の主体を明確化する。④⑤は、案件によって、書き方が異なる。過去の提言書がホームページで見られるので、それを参考にしてほしい。

Q:特区は最近どうか。

A:コンスタントに毎年行っており、定着している。

・個別相談会

全体での質疑応答の後、各講師との個別相談を実施した。